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フリーランス医師のメリット① -正社員(常勤医師)や医師以外のフリーランスとの違いから考察

Xでこのような投稿があった。

今回は独断と偏見で自身が思うフリーランス医師のメリットを書いていこうと思う。
この記事では医師以外のフリーランスとの違いから考察していく。

こちらの記事に会社員の場合のメリット/デメリットが解説してある。これを医師に当てはめるといったいどうなるのだろうか。

・休み

一般的な会社員の場合は土日が休みでフリーランスは土日がないのだという。
しかし医師の場合は逆で常勤医師(正社員)は日曜も回診のため出勤が必要、逆にフリーランス医師は休みたいときに休みに出来る。
もちろん診療科次第では日曜出勤もなかったり交代制であったりするが、若手のメジャー内科や外科、その他入院施設のある診療科は回診のためだけであっても出勤するのが煩わしい。

理論上働くも休むのも自由ではあるが、ここは意外と難しいと思う。週休2日にしたい、しっかり休みたいと思ってフリーランスになったのに、稼げるときに稼がねば精神で気が付いたら週6,7で仕事を入れてしまう。
今もまさに13連勤真っ只中だ。

・厚生年金や雇用保険などの各種社会保険料

社会保障は圧倒的な男女格差が存在することが知られている。未婚の独身男性の平均寿命は67歳であり、厚生年金は事実上男性から女性への所得の移動である。さらに最近では高齢者の定義を70歳に変えるという話題もあり、我々が高齢者となることには今のように年金が65歳から支給されるとは考えにくい。

今後少子化は止まらず現役世代の数は減少していく。現役世代が高齢世代に送金するという方式である以上支給年齢を引き上げるのは不可避であり、独身男性でなくとも男性であれば年金自体1円すら支払う意味はない世界に変わっていくだろう。

医師の多くは厚生年金を上限額支払っている。現在の上限は1月あたり59475円であり35年間 S&P500に同額を投資すると2億円を超えるという。ほぼもらえない年金のために2億円のチャンスを失うのが現状だ。

特に筆者が許せないのが3号年金の存在だ。毎月の年金を支払わなくてもよいという特権だけでなく、高齢になると支給までされる。
今の高齢者が大した額を支払っていないのに年金を受け取っているのはまだ許せる。胴元がアホだっただけだ。しかし、掛け金すら払ってもいない人物に配当金を出すのは絶対にあり得ない。
このように3号年金は二重に優遇されており今すぐ廃止にしてもらいたい。

一方フリーランス医師の払う国民年金保険料は1か月あたり16980円だ。

それでは健康保険料はどうだろうか。30代の医師(介護保険料がかからない)月収150万を想定すると健康保険料は自己負担の上限額69500円だ。一方国民健康保険料も高く、こちらは年額89万円のため1か月あたり約74100円だ。
※健康保険の任意継続は現在上限が撤廃されているので昔のように月3万円とはいかない。

雇用保険料はどうだろう。労働者負担は0.6%なので先ほどと同様の条件の場合は月9000円だ。
筆者は正社員を退職するときに雇用保険を何とか使えないものかと試行錯誤したが、会社都合退職であっても支給が7日間は遅れること、失業手当には上限があり日額7,595円であることから申請を断念した。数か月の無職生活を耐えきれる医師でないと失業手当は事実上受け取れない。なぜならその間にバイトでもしていた方が簡単に稼げるからだ。

雇用保険料は育休にも使われている。以前のnoteでも記載した通り、毎年生まれてくる子供は万単位で減っているがなぜか育児休業給付金は爆増している。

https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001148610.pdfより引用

そして育児休業給付金を受け取っている大部分は女性である。男性の育休はまだまだ少なく、男性や独身女性が既婚女性に給付金を支払っているのと何ら変わらない。

他人と比較するとたくさんの雇用保険料を払っているにも関わらずリターンは受け取れない。金額は1万円程度と安いかもしれないが、こんな歪んだ制度にはびた一文も払いたくない。

月あたりに支払う社会保険料をざっくりまとめると以下の通りとなる。

常勤医師(正社員)…59475+69500+9000=137975円
フリーランス医師 …16980+74100+0=91080円

その差は約46000円だ。
ちなみにフリーランス医師が定期非常勤先を確保し医師会の国保に入ることが出来ればこの差はもっと広がる。

・産休や育休などの福利厚生/有給

退職時の有給すら取るのを妨害されたりする。ベテランになれば有給を自由に使えるかもしれないが若手のうちはせいぜい学会出張の時くらいしか使えない。

医師業界で育休を男性医師で取るのはほぼ不可能だろう。当然男性医師に産休/育休などの福利厚生はないに等しい。

・自分の代わりがいる

常勤医師であってもなかなか休みにくいと思うが確かにこの点は常勤医師側に軍配が上がる。

・社会的信用

実際に決まった職場を持たずに不動産を借りれるのかはわからない。
駐車場は借りることが出来た。職場欄は日雇い労働者のため空白であることを説明すると「あー、フリーランスの医師ってことですね」と言われたので不動産屋も慣れている感じはする。

いざとなれば週1勤務の定期非常勤先を一つ取ってそこを職場として書けばいいと思う。

・やりがい

人や環境によるだろうが筆者の場合パワハラ上司と仕事をするのは大変苦痛であった。
今は健診など単調な作業が多いが空いた時間にnoteを書いたりネットサーフィンしたり自由に過ごしているのがとても心地よい。人間関係も確かに嫌な人がいる時もあるが、その日限りなので終われば気にならない。

まとめると会社員にとってのメリットは医者(の正社員)にはなく、フリーランスのデメリットも医者(のフリーランス)にはない。そもそも常勤医師も一年ごとの有期雇用契約だったりするので完全な正社員とは言えないだろう。

書き出すと社会保険料への熱い想いが止まらなくなってしまった。
次回は冒頭のXの投稿で指摘されたポイントを元に、常勤医師と比較したときのフリーランス医師のメリットを考察する。

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