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【観劇】劇団スーパー・エキセントリック・シアター第58回本公演「世界中がフォーリンラブ」

 2020年10月中旬、サンシャイン劇場へスーパー・エキセントリック・シアター(SET)の舞台を観てきました。

 コロナ禍の中で行われた今回の舞台。当日は感染対策をしたスタッフがスタンバイする中、入場時の入り口前の検温と手消毒に始まり、客席もソーシャルディスタンスをとるため前方・後方、両サイドと一席ずつスペースが取られ、さらに開演中も会場扉を開けるなど、徹底した感染対策が取られていました。入場の時はやっぱり少し緊張しましたね。

 三宅裕司さん、小倉久寛さんはじめキャストのみなさんはアクリルマスクをして演じておられました。ダンスもマスクしてされてましたよ!

 物語は感染してしまうと男女誰でも構わず好きになってしまうと言う未知のウィルスが検出された…というところから始まり、一刻を争うワクチン開発を巡っての製薬会社同士の利権争い、若い男女の恋愛、さらに怪しげな霊媒師が登場して人を愛すると言うこと、そして命の大切さを描く…というもので、SETならではの歌とダンス、三宅裕司さんと小倉久寛さんのおおらかで細かい笑い、を思う存分楽しめました。

 私がSETの公演を観るのは3回目で、そのきっかけは毎年6月頃に上演される熱海五郎一座公演で、ほぼ毎年観ている熱海五郎一座が面白いのでSETも観てみたい!という流れからでした。今では年に数回、三宅さんと小倉さんの舞台を観るのが楽しみになりました。2020年の熱海五郎一座公演はコロナのため中止となったのでSETのステージが無事に行われる心配でしたが、上演されて本当によかったです☆

 実は今回の公演、始まって三宅さんが登場したシーンで初っ端から三宅さんが台詞を忘れてしまった、というハプニングがあったんですね笑。「まったく(台詞が)出てこないんだよ!何でこんなことになったんだよ!」みたいな笑〜ことを話され、周りのキャストの方々に台詞のヒント?を言ってもらって本来の台詞を思い出した、という三宅さんを観て、マスクをした客席の皆さんが大爆笑しているのを見て、あ〜ちゃんといつもの?SETだな〜と思いました笑。

 でも実は私は苦手なシーンもありまして、それはウイルスに感染したとされる数人のキャストが男女問わず事をなすためだけに互いに追いかけ回すシーンだったんですが、面白いんですけどなんだかなあと思ってしまって。

 今回の物語を書くにあたって作家の吉高寿男さんがパンレットの中で人は誰かを愛することまたは誰かに愛されたいということ、そしてモテたいという気持ちがあるのになかなかオープンにできないのは知恵や教養をもってしまったからで、動物たちのように振舞える愛こそが純愛かもしれない…と話されていました(パンフレットは有料なので要約です)。そんな純愛の世界を描くために感染したらだれでも好きになるウイルスが必要で、知恵や教養が関係なくなったら男女が互いを追いかけ回す状況になり純愛だけの世界が生まれて…人を愛するというテーマに繋がってゆく、ということだったんですね。

 がしかし!意地悪なようですが動物たちの子孫繁栄行動は恋愛観というよりそれこそ自分たちのDNAを未来へ繋ぐという大切な行動で、人間の恋愛云々を持ち出すこと、さらに動物たちは「モテたい」を隠さないという結論にするのはいささか乱暴だと思いましたの…。このコロナ禍で私が考えた人間愛は本当に大切な人を思いやることかもしれないということでした。どうやら吉高さんとは真逆だったかも。もちろん正解はわかりませんが。吉高さんすいません!いつも楽しい物語をありがとうございます!

 

 元気のない人に元気になってもらいたい。そのためにはいろいろな方法があるけれど、SET、そして三宅さんが徹底してその方法を「笑うこと」に絞っているのは人は笑顔になれたら「明日は今日よりももっといいことがあるかもしれない」と自然にそして必ず前向きになれる、ということを信じておられるからだと思います。かっこいいですね。

 まだまだ先が見えないコロナ禍の中にいてやっぱり窮屈で緊張した毎日を過ごしている私たちですが舞台、映画、ドラマ、音楽、小説、絵画などなど…エンターテイメントの魔法はちゃんと存在してるんですね。今日も何処かで私みたいにすっかり魔法にかかった人がいるかもしれません。

 ちなみに今回も小倉さんが役にピッタリで!最高でした☆

 

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