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【エッセイ(ミニ)】3人の時間。

コロナ禍になる前、仕事帰りによく外食をしていました。

あるレストランで

料理が出てくるまで何気に店内を見まわしていたら
私の座る席から少し離れた席に
年配の(おそらく)ご夫婦が座っておられました。

あまり会話をされていないご様子でしたが
しばらくして若い男性がやって来てお二人のいる席に座りました。

どうやらお二人のお孫さんのようでした。

店内が静かで
他にあまりお客様がいらしてなかったので

ほんの少し、会話が聞こえてきました。

『学校はどう?』
『変わったことはない?』

と、女性(おばあさん)が孫にたずねます。
男性(おじいさん)はあまり話しかけませんが
ときどき柔らかい表情をして食事をしています。
孫の青年は少し返事をしますが
視線のほとんどはスマホに向いています。

やがて
時間がすぎて
私が食事を終える少し前に
その3人は店を出て行きました。


いつもなら

このお孫さんは、スマホばっか見てダメだねー、
とか
おじいさんももう少し話しかけたらいいのに

なんて勝手なことを考えたりする私ですが


コロナ禍で以前のようになかなか人と会えなくなった今、
そして、今日まで震災など自然の猛威に
たくさんの大切なものが失われた光景を振り返ると


あの3人の時間が

あの光景が

かけがえのない幸せの1シーンのように思えてきます。




大切なひとに
会えますように。


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