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おいしいナポリタンの作り方〜大人の自由研究①〜料理の科学的根拠とリクツ

本場イタリア料理とは明らかに違う日本料理とも言えるスパゲティナポリタン、パスタ店でもメニューにありますが、今一つ昔の喫茶店の味と違う気がして自分で研究を重ねてみました。

理系出身の半澤和洋は料理の腕には自信がありませんが、リクツ付けは得意です。科学的根拠のある方法で美味しいナポリタンを作ってみました。

本記事はいわゆるおいしいものを作る料理専門家のレシピではありません。趣味としての自由研究をする様な感覚で料理を楽しんでいただく為、科学的なリクツを絡めておいしいナポリタンの作り方を紹介します。ご家族、友達、恋人と料理を自由研究感覚で楽しんでいただけたら嬉しいです。

おいしいナポリタンの材料

①太麺パスタ
昔の喫茶店でナポリタンの材料で最も拘る必要があるのは麺です。2.2mmのものが良いです。昔の喫茶店のナポリタンの特徴でもある麺表面タンパク質熱変性麺内部のデンプンの糊化麺表面の乳化(エマルジョン)の三つの化学現象を同時に引き出す為には太麺に拘りたいところです。

②ケチャップ
ケチャップはイタリアから直輸入といった拘ったものより、国産のケチャップの方がナポリタンには合っているかと思います。酸味が強いものもありますが、調理でカバーできます。

③油
具と麺を炒める油は昔にこだわるならラードが良いですが、普通のサラダ油やオリーブオイルでも麺の水分とのエマルジョン、ケチャップのリコピンとのシス化、ケチャップのリコピンの溶解による赤からオレンジへの変色を達成できるためどの油でもおいしいナポリタンが作れます。

④具材
ナポリタンの具材は、ソーセージ(肉類)、玉ねぎ、マッシュルーム(キノコ類)、ピーマンが一般的です。メイラード反応により香ばしい香りを出す為には、タンパク質(肉類)は必須です。また、玉ねぎはリコピンのシス化を促進させ吸収しやすくさせる働きもあり、また味にも深く影響しているため代用品は見当たりません。ピーマンは色合い的にもあった方が良いです。

おいしいナポリタンの作り方と化学的リクツ

①麺を茹でて寝かせて炒める
たっぷりの沸騰させたお湯で指定時間麺を茹でます。上記で紹介した麺の場合は茹で時間16分です。
ナポリタンの場合、パスタで言われる0.1mmの芯を残すアルデンテという概念とは違います。高温で茹でて表面を熱変性させて麺表面が少しを固めて少しの歯応えを出し、麺内部のデンプンの糊化によりモチモチ感を狙う逆アルデンテになります。うどんの茹で方のリクツに近いです。

塩のナトリウムは軟化推進効果があるため、外の食感を残したい場合は使用しない方が良いです。私は太麺を使う際は茹でている時に塩を使いません。

茹でた後に放置すればするほど糊化が進むつまりモチモチ感が進むので好みに合わせます。昔の喫茶店を再現するには3時間程度寝かせれば近付きますが、私は寝かせず直ぐに油で炒めます。寝かせ無くても十分おいしいと感じました。

寝かせる場合もそうでなくても、麺は具材やケチャップと合わせる直前に油で炒めておきます。様子を見ながら少しずつ茹で汁を加えることにより、油と水が混ざり麺表面で乳化(エマルジョン)が起こり麺がツルツルになります。少し焦がしめにすることにより、麺の糖分のメイラード反応により麺を香ばしくさせるのと麺表面に歯応えを与えることができます。

②具材を炒める
切った具材を炒めます。焦げさせなく、メイラード反応を引き出す為には、ソーセージ、玉ねぎ、キノコ類の順で強火で炒め、玉ねぎとキノコから良い香りがするまでが目安です。ピーマンは逆に炒め過ぎると香りが飛ぶので、麺やケチャップと混ぜ合わせる前に少し火を通しておくイメージの方が昔の喫茶店のナポリタンに近づきます。

③ケチャップのコントロール
ナポリタンにとってケチャップのコントロールが調理のポイントになります。ケチャップは加熱すると水分と酢酸の気化が起こります。ケチャップの酸味の正体の主要因は酢酸、次がクエン酸です。
酢酸は加熱による気化でコントロールできます。クエン酸はそのままがお勧めですが、酸味を殺したい場合は中和でコントロールします。

昔の喫茶店に近付けるお勧めのコントロール方法は、具材と混ぜる前にケチャップ単体で十分にフライパンで加熱し完全に酢酸を飛ばしておき、クエン酸の酸味だけにするのが丁度良いです。フライパンで加熱するとメイラード反応がおきてケチャップからも香ばしさを出せます。私の場合は、麺を茹で始めてからケチャップを別のフライパンで加熱を始めています。

酸味を出したい場合は、早めに具材や麺にケチャップを染み込ませたり、完成直前にケチャップを足すことによって酢酸を残して酸味を強くできます。子供用のナポリタンの場合、少し重曹を加えてクエン酸の中和をさせておくと完全に酸味を消すこともできます。また、チーズや牛乳でも酸味の中和ができます。最後にパルメザンチーズ(粉チーズ)をかけて味調整を楽しむのも良いです。
昔の喫茶店は店にもよりますが、酸味を強くしておいて、たっぷりの粉チーズで客が味を調整する方式をとっていたところもあるかと思います。

ケチャップを油と合わせるとリコピンの溶解リコピンのシス化が起きます。リコピンはケチャップの赤み成分ですので、油の量が多ければ黄色に近いオレンジ色になっていきます。見ながら調整できるので、好みに近いオレンジ色に調整できます。リコピンのシス化は味には直接関係ありませんが体に良いとされるリコピンの吸収率をあげますので油は良いです。

④混ぜ合わせ
混ぜ合わせる順番も色々型があります。炒めた具材と炒めた麺を混ぜ合わせながらよく炒めて、最後に加熱したケチャップと軽く加熱しながら混ぜ合わせ完成させる型が最も昔ながらのナポリタンに近く、私が美味しいと思う方法です。

少し茹で汁を入れながら炒めると麺内部のデンプンの糊化エマルジョンを追加する事ができ、この段階でもモチモチ感とツルツル感を増やす事が増えます。好みの酸味調整のためにケチャップを追加することもできます。
私の好みは追加ケチャップも加熱しておくことです。

最後に

ここまで読んでいただきありがとうございました。冒頭でも書きましたが、この記事はレシピでは無いので敢えて詳細は書いていません。クックパッドやインターネットホームページのレシピにこの記事はを追加して料理を楽しんでいただければ嬉しいです。

ホームページでリクツ部分だけ表にまとめたものも掲載していますのでよろしければ覗いて下さい。

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