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【気は優しく力持ち】

フィリピンの男性ケアさんの話。

彼の名は、リアンさん。大柄で温厚な人だった。

本当の名前は長くわからない。

フィリピン人の名前は、確か名前・母親の旧姓・父親の姓で構成されていたと思う。

そして、みんなニックネームで呼んでるようだった。

女性の名前は、キリスト教に関連する名前やアメリカ人のような名前が多かったように感じた。

話を戻して・・・

リアンさんには、とてもお世話になった。

彼は、呼ぶと必ず来てくれた。

日中は、ナースコールを呼んでも来ないことがざらで、廊下を通る人を呼ぶ方が確実だった。

身体が痛くなったりして体位変換してもらう時は、通りかかったリハビリのスタッフを名前で呼んで、ちょろっとやってもらったりした。

おむつ交換やお茶を貰う時は、フィリピンのケアさんを呼んだ。

とても頼みやすかったのがリアンさんだった。

抜糸をしてから2週間後ぐらいに機械浴と言う風呂に入れてもらったが、この時もリアンさんに入れてもらった。

本来ならナースもいないといけないはずだったが彼1人で入れてくれた。

病院側の諸事情で人がいないからのようだった。

前述でも書いたが機械浴室は5階にあり、風呂からの帰り5階のナースに「リアン、1人で入れたの?ダメだよ!危険だから!」と言われていた。

彼も気の毒である。3階のナースに言われて動いている訳だから。

機械浴の話に戻すと、ストレッチャーで5階に行き浴室で機械浴用のストレッチャーに乗り移り衣類の着脱、おむつを取り素っ裸に。

そして、ストレッチャー上で頭、顔を洗い髭剃りし身体を洗ってもらった。

そして、機械浴にストレッチャーをセットすると寝てる台座がスライドし、浴槽が上がってお湯に浸かる。

リアンさんの手際の良さには驚いた。
大柄な体型と力、そして器用さがないと1人ではお風呂に入れる事はできないだろう。

そもそも通常は1人で入れる訳ではないのだが、僕としてはありがたいし嬉しかった。

「君には、とても感謝している。今日の事は、一生忘れないから」と伝えた。
彼は恥ずかしそうに微笑んだ。

入院してから1ヶ月ちょっと、やっと入れた風呂だった。

結局、51日入院して1回しか風呂には入れなかった。とんでもない病院だった。

つづく

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