【VIP待遇か・・・】
4階病棟には、1か月ちょっといたが居心地は悪くなかった。
ある程度の我慢はしたが、むしろ居心地は良かった。
受け持ちのナースの聖さんのおかげで、何かと助かった。
また、他のナースも優しい人が多かった。
リハビリスタッフの皆さんも一生懸命に鍛えてもらい、多少なりとも自信がついた気がした。
リハビリ病院に来た当初は、在宅で暮らしてた時のように出来るのか?もっぱら不安だった。
おむつも取れていないし、まだまだ不安だらけだが少しずつ前進できているように感じた。
そうそう忘れられないお婆さんが数日前に退院していった。
このお婆さんとは、2階病棟でニアミスしていた。
2階病棟は、お昼にデイサービスみたいなことをやっていたと以前書いた。
その集まりが終わる頃、蛍の光を歌うお爺さんがいて、最後に拍手をみんなでして解散していた。
僕が4階病棟に移って2週間が過ぎた頃、また聞き覚えのある声で蛍の光が聞こえてきた。
リハさんに聞くと、お婆さんだと言う。
もしかしてちょっと前に2階にいなかった?と聞くと、2階にも3階にも居たと言う。
ちょっとした有名人のようだ。
このお婆さんは、大きな声で昼夜問わず歌う。
だけど怖いナースが夜勤だと大人しく寝るのである。
認知があると聞いたのだが果たしてどうなんだろうか?
怖いナースとは、50代の短髪のベテラン女性ナースのタケちゃん。
若いナースは、皆怖がっていた。
お婆さんが20時ごろ大声で歌っていたところ、タケちゃんに一喝された。
「うるさ~~~い!」と。
そしたらそのお婆さんは、「うるさくな~~~い!」と反撃して、そそくさと部屋に帰り寝たようだった。
そのやりとりを聞いて、他のナースと大爆笑した。
この他、僕の隣のベッドのお爺ちゃんも困ったちゃんだった。
年を取ると赤子に帰ると言うが・・・
色んな人生模様を体験した。
そして僕は5階病棟へ移動した。
5階病棟での部屋番号は、515号室。
そこは、殿様部屋だった。
つづく
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