11月9日

 嫌々やったことは大概失敗する。そう自覚したものだから、石橋を叩き捲って結局渡らない…そんな生活になって久しい。決して良い傾向だとは思わないが、無理に渡って上手くいった経験がない。それだけは真実なので、今は自分を信じるしかないと思っている。誰も否定しないのは、それだけ人と関わる機会が減ったからかも知れない。先日、大枚をはたいて大きな買い物をしたことを知った弟が言った。
「血ぃ吐くまで働けよ!」
 仕事も無いのにそんな大金使って…と言いたいことだけはわかったが、今の私は少々おかしい。いや、少々どころか、大分…。普通に生きていれば絶対にしないような買い物だ。しかも仕事も金も無い現状でするようなことではない。清水の舞台から飛び降りる…とは、こういうことを言うのだろう。多分、私は狂っているが、この機会を逃せば、後々明らかに後悔するということだけははっきり分かったので、飛び降りたのだった。
 
 今月に入って久々に気になる求人を見つけた。
 ひとつは希望職。バイクで走れば30分強。しかし場所と給料が良くない。賞与はそこそこ良いが、月々の収入が前職と大して変わらないのを見て、転職を志した本来の意味を思い出してしまった。
 もうひとつはとても珍しい仕事だが、多少スキルが活かせそうな職種。しかし会社のHPを見て躊躇う。目指しているところに全く共感出来ない。
 取り敢えず、何が天職になるかわからない。収入も既に途絶えているので、繋ぎのつもりで受けてみようか…ともやもやしながら一週間寝かせた。
週末を明けて、準備が出来次第、ハローワークへ行こうと思ったら、一週間前に家族になった3ヶ月のこどもが床にした下痢便に、血が混じっていた。予定を変更して病院へ走る。予約を入れたが一時間待たされ、帰った時にはくたくたに…。昼食を摂って、仮眠した後、ハローワークへ…と思ったが、こどもが夜中に暴れたうえでの早朝の騒ぎで、睡眠不足の大人は体力が続かなかった。翌日に延期するつもりで、確認のため、再度検索を掛けた結果、希望職の方が既に消えていた。
 病院と希望職の方角が同じであった。車を走らせている間、ここを毎日通ることになるのかも知れない…と想像する。何の希望も湧かなかった。
 一体何をしているのか…と思う。しかし早くも今年は終わる。職が見付かるのは早いに越したことは無いが、もうこの際、新年に賭けようかという気にもなって来る。この精神力がいつまで続くのかだけが怪しい。

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