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詩「月光」

この世の底を見た人は
生まれながらの罪人の如く
誰も通らない道を選ぶ
同じ足取りで露を踏みつつ

思いを捨て切れない人は
開き直った迷子の如く
自分の宿命を一途に愛す
そ知らぬ顔で独りごちつつ

銀色の光の流れる幽谷は
粛々として蒼ざめて
禅寺の修行僧は凍れる闇に
湯気のあがる木像と化す

天を仰げば冴えわたる夜
地には伝説を受け継ぐ門
囚われの人は隘路を歩む
高鳴る胸に恋を刻みつつ

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