見出し画像

『シン・ウルトラマン』の感想を垂れ流した後に、宇宙人の呼称について考える記事

はじめに

 この記事は、映画『シン・ウルトラマン』のネタバレを含むものであります。お読みいただく際は、ご注意ください。ちなみに見出し画像に使用したのは、オリオン座にある星雲M87の写真です。

ひとりの『ウルトラマン』のオタクが大喜びした話

 まず本題に入る前に、鑑賞後の巨大感情を垂れ流す時間を頂戴いたします。「いらない」という方は次の見出しへ進んでくださいませ。企画および脚本を手がけた庵野秀明氏のことは、初めて『エヴァ』シリーズを観た時から『エヴァ』独自の世界観創り込みに感銘を受けつつ、同時に「そんなにウルトラシリーズが好きなのか」という感想を抱きました。そして、今回の『シン・ウルトラマン』でも庵野氏ならではの創意がドバドバに発揮されていて、尚且『ウルトラマン』に対するリスペクトが全体を通して溢れ出ていました。もうこんな素晴らしい映画を観せられた日には、ウルトラシリーズのオタクである私はスタンディングオベーションせざるをえませんでした。
 ここからお話することはウルトラマンに詳しい方にとってはわざわざ説明する必要もないようなことかもしれませんが、例えば、公開前から注目された「カラータイマーのないウルトラマン」。これは代表的な事柄といえましょう。それはウルトラマンの生みの親である成田亨氏が絵画に描いた「真実と正義と美の化身」そのもの。それだけではなく音楽効果音は新しいものではなく原作のもの(あるいは原作に近いものでしょうか?)を使用しており、ところどころの戦闘経過台詞にも原作がしっかりと活きていました。
 さらにマニアックな話をすると、『ウルトラQ』で登場した「ゴーガ」という怪獣が元であると思われる禍威獣は、当該怪獣の登場回のNG脚本での名称「カイゲル」という名で登場しました。
 あるいは昔、ゾフィーもとい「ゾーフィ」が「ゼットンを操る宇宙人」とした誤情報があり、ネットでもネタ画像として出回っていたと認識しています。しかし、今回の『シン・ウルトラマン』ではまさにゾーフィゼットンを喚び出し、地球を危機に陥れました(最終的に考えを改めたとはいえ)。このように、本作は『ウルトラマン』のファンが思わず反応してしまう要素ばかり。ぎゅっと詰まった感じがもうたまりませんでした。見事にしてやられました。

ウルトラシリーズにおける宇宙人の呼称について

 さて、今回私が議論の対象としたいと考えているのが、「ウルトラシリーズ」における「宇宙人」の呼称についてです。突然妙な質問をしますが、皆さんは、「○○星人」という呼び方について、どのような解釈や考えをお持ちでしょうか?例えば旧作(『シン』じゃない方の)『ウルトラマン』に登場する「ザラブ星人」。この呼び方は「ザラブ星」という星の「(=民族人類)」であると私は解釈します。多くの解説書でも彼の出身地は「ザラブ星」としています。
確かに「ザラブ」という星から来た、あるいは「ザラブ」という名前の「星人(=宇宙人)」だとする解釈の余地もあるでしょう。しかし、「火星人」は「火星」から来た「人」であり、「火」という名の「星人」とは考えにくいと思われ、したがって言葉の構造的には前述のような解釈が適当かと考えます。

 ただ、ウルトラシリーズでは時に「星人」を「〜星の知的生命体」というよりも総称的に「宇宙人」という意味合いで使う場合が多々あります。例えば『ウルトラマンレオ』に登場する星人ブニョ。彼は「ブニョ星」から来たわけではなく、「ブラックスター」という星から飛来しています。それでも「ブラックスター人」ではなく「星人ブニョ」と呼ばれていました。
 『ウルトラマンメビウス』に登場するメフィラス星人も自らを「メフィラス」と名乗りました。こうした呼び方は先の例でいえば、火星人が「火」と名乗るようなものでしょう。身近な例に置き換えれば、自己紹介する際に「私は『日本』です」とか「私は『地球』です」と名乗るようなものであるように思われます。それらは些か滑稽に過ぎるような気がします。ただ、警察の方が犯人のもとへ押し入る際は「亀山だ!」よりも「警察だ!」と言う方が自然でしょう。オリンピックの話題でも、わざわざ「アメリカ人が金メダルを獲った」と伝えずとも「アメリカが金メダル」で伝わるはずです。それを考えると『メビウス』の「メフィラス」のように「惑星名」を名乗ることはそれほど不自然ではない気もしてきます。

 さて、『シン・ウルトラマン』における異星人はいかがでしょうか。例えば、ザラブはみずからの名を「ザラブ」だと言いました。これは「ザラブ星人」という民族ではなく、「ザラブ」という個人名であるようです。メフィラスしかりウルトラマンしかり、地球外から来た知的生命体は総じて「外星人」と呼ばれています。それは「日本人」「ドイツ人」「アルメニア人」という呼称を全てひっくるめて「地球人」と呼ぶのと同じように。
 ウルトラマンやゾーフィは「光の星」を故郷としています。また、ザラブは「ザラブ星」、メフィラスは「メフィラス星」から来た、というわけではないようです。これは、それまで旧作の「ザラブ星人」「メフィラス星人」を「その星の民族名」として捉えていた私にとって一瞬だけ混乱するものでした。しかし、こうした旧作との違いも含めて「新」、もとい「シン」を感じました。
 これを読んでくださった皆さんは、宇宙人の呼び方についてどのような解釈・印象をお持ちでしょうか?もし何か考えがございましたら、聞かせて頂けたら嬉しいです。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?