見出し画像

鬱病を感染された 16

16)バカのふりをしていたら本当にバカになってしまった
当初、俺は鬱病になったフリをしていた。
フリをしてアイツに仕返ししてやろうと考えていた。
アイツは俺の元職場の部下で、アイツはすでに鬱病を発症していた。アイツは自分の看病を俺に依存して来たが、俺がそれを拒むと逆恨みをして虚偽の自殺で俺を責めた。
本当にアイツが死んだと信じた俺は責任を感じて薬を大量に飲み自殺を図った。
早期の発見と致死量には達していなかったので大事には至らなかったが、その後アイツの自殺がウソだった事を知り、騙されて自殺までした俺は怒りアイツに仕返ししようと考えた。
鬱病のフリをしてアイツに近づき鬱病だと信じこませたところで俺は健常者だと告白する。
そしてアイツにダメージを与えようと考えた。

というのが俺の目論見だったが今となってはもうどうでも良くなった、というか本当に鬱病になっていた。俺は自覚が足りなかったようで既に発症していた。

鬱病のフリをしていたら本当に鬱病になっていた。アイツに感染された。

元はと言えば大量服薬したのも自分を責めたネガティブな発想からだし、騙されたとは言え仕返しを考えるなんてまともな大人がする事じゃないような気がしてきた。

「鬱病はうつらないわよ」
「あなたの脳内の神経伝達物質の問題だから!」
「鬱病にウィルスは無いわ」
「有るとすれば『後追い』かな」
「X JAPANのhideが亡くなった後、ファンが続いて自殺した件とかがそうね」
「感染するという根拠は科学的には無いわ」

「俺もそうじゃないかと思っていたんだ」
「鬱病はうつらない・・その通り!」
「元はと言えば俺の物事の考え方が間違っていたんだな」

「間違いは正せば良いのよ」
「考え方なんていくらでも治せるわ」

「手伝ってくれるかな?」

「もちろん、喜んで!」

「ありがとう、よろしくお願いします」


つづく(16/53毎週日曜日18:00更新)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?