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赤死病 ジャック・ロンドン

Am 10. April

The Scarlet Plague
Jack London


「人間は数が増えると、戦うようになる。」


このままじゃ地球さんが死んじゃうよ。
細菌くん、ホモサピエンスを調整してくれたまえ。
わあああ、緋色のペストがくるよ。

ねえ、今、このちっぽけな星に、いったい何人のヒトがいるか知ってっるかい?


結局、また、ロンドンさ。

ピタリと当たる、天才、ロンドン氏の大予言!
明日にも現実となりうる恐怖のサイエンスフィクション短編集!

ああ、この気の重くなる世界の破滅をロンドンは1912年に予言したってわけだ、ああ、占星術師の父親の才能か。
予言はすべて当たりつつあるね、彼にはわかってたんだ。


じいさんは語る、孫であるこいつら野蛮人に。
文明を滅ぼした赤死病のことを。

ジンコウ。。。
この世界人口ってやつはもうパンパンだ、ヤルしかねえ。。。
80億人のニンゲン。
やつらに覆い尽くされてもう地球は息も絶え絶えだ。
そうして、「調整」が働いたのさ、増えすぎたニンゲンを減らすね。


この菌ときたらとんでもない暴れん坊だ!
「赤死病」
この猛烈に致死率が高い病気は、死ぬまでも速いったら!
お話してる間にあなた、死んでゆきますね、お顔が真っ赤ですぞ!
みんなスカーレット色してバタバタおっ死んだよ。
お金持ちも貧乏人も若者も年寄りも善人も悪人も男も女も。
この菌ときたら完全に公平だったよ。
みんなみんな死んだ、わしら以外みんな。。。

まともな家も食べ物も、きちんとした服もない、力が支配するこの北斗の拳の世界。
憧れの貴婦人は悪党の奴隷になり、大学教授だったわしはボロ布つけた汚ねえじいさんさ。



ああ、ニンゲンってやつは『底なしの生産力』でもってこの地球の喰い尽くしちまった、全ての生き物を喰い尽くして。
まったく、細菌みたいな連中だよ。。。

この短編集全体にロンドンの怒りと悲しみが漂っていて、読むのがツラい。
よくあることだけど、動物や自然の美しさに魅せられた者は、えてして人間嫌いになりがちだよね。
彼ら、ニンゲンじゃないものどもはもっとシンプルに生きていて、人間様みたいにグチャグチャ膿んでないものね。

ああ、この世界を見なよ。
いったい何人のヒトが地面を覆っているかね?
みっしり覆われすぎて息もできないよ。

そう、そのうち酸素もなくなるってね。
小学生でも知ってるさ、誰が酸素を作ってるかなんて。
けれど、この世界にはもう、彼らの居場所はないんだね。
ああ、今日も切り倒されていくってもんだ、ドンドンドンドン。

動物どもも人間様に場所を明け渡さなきゃなんねえよ。
お前ら、邪魔だから、死んでね。

そうして植物も動物もぜんぶブルドーザーでならしてそこにも人間様がウジャウジャするよ。

生物多様性って大事だよね。
ほら、こんなにホモサピエンス種だけが密になってると、細菌くんの繁殖にもってこいだ!
それッ!!!

あっという間に広がって、あっという間に掃除される。
なんたって、こんなにみっしりしちゃね、こういうことを恐れてみんな密を避けてたのにね、どこもかしこもみっしりしてちゃ逃れようがないものね。

明日にでも、こうなるのかも。
ロンドン氏の大予言!

イヤ。。。
ロンドンの呪いやもしれない。。。


「人類……動物界全体をその支配下におさめた。なぜなら、全動物のなかでも最も恐ろしい図抜けた殺人者へとなっていったからだ。」