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何度でも読み返したいnote1

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何度でも読み返したいnoteの備忘録です。 100作品たまったので、何度でも読み返したいnote2を作りました。
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#料理

たまごに愛された男

誰もいないキッチンから、「ぱさっ」という音がした。 あぁ、またか。 想像したくないけど、きっとアレに違いない。 渋々、音のしたほうへと歩いていくと、悪い予感は当たっていた。 ふきん掛け(吸盤式)の落下。 ゆうべ洗ったばかりのふきんが、シンクで水を吸ってへたっていた。 落ちたふきん掛けとふきんを手に取り、なんか言ってやりたい気持ちになる。 ものにも心があるならば、言霊的にはけっして言ってはならない言葉だが、もろくもブチ切れた私の堪忍袋は収まりがつかず、捨て台詞のようなク

5本で100円の泥ネギを食べまくった冬がもうすぐ終わろうとしている

旬のものを使って自炊をするという行為の贅沢さったらない。今この季節が最も栄養価の高い食べ物と今この瞬間のわたしの人生を捧げて、健やかな未来を静かに願う儀式をしているような気がするのだ。ほとんど毎日のように料理をするが、何のためと改めて聞かれたとしたら「空腹を満たすため」というよりも「未来への祈り」だと答える気がする。 前置きが長くなってしまったが、この冬は信じられない量のネギをたくさん料理して食べた話がしたかったのだ。 今年の冬は長ネギが豊作だったそうで、おかげさまで本当

全然違った!義母の「白菜と天かすの土手煮」

私からのお裾分けと義母からの正解先日の白菜大量消費記事に書いた「白菜と天かすの土手煮」。 私が作ったものを少し保存容器に移して義母にお裾分けした。 白菜の水分を搾り切らなかったから水っぽくなったかも?と思っていたんだけど、なんとそれどころじゃなくて作り方が全然違ったので載せておきます。 お裾分けからの返信とでもいうような正解の「白菜と天かすの土手煮」がこちら。義母作のもの。 こっくりしていて見た目はまるでビーフシチューの様、食べた感じは味噌おでんとか味噌煮込みうどんの雰囲

29)祖父に作るマグロ漬け丼

祖父は短気で頑固で寡黙な元漁師だった。 身長も高く、骨太な体格、彫り深い顔立ち。見た目でいうと……そう! ドナルド・トランプ元大統領にそっくりだ。 当時ニュースで『アメリカファースト』と指を立て、まくし立てる感じなんか祖父そのものだ。威圧的で圧倒的な感じ、全てが祖父だった。 私はそんな祖父が昔から苦手だった。 祖父母の家に泊まりに行っても極力祖父とは同じ空間にいないようにしていた。話す言葉も必要最低限。怒られるのが怖いので祖父の前ではいい子を演じていたように感じる。 それは