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何度でも読み返したいnote2

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何度でも読み返したいnoteの備忘録です。こちらの2も記事が100本集まったので、3を作りました。
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#新社会人に伝えたいこと

【エッセイ】人に愛される才能を持った君だから

このところリサーチに余念がない。 甥っ子2号が就職することになり、お祝いの品を探しているからだ。 今日も行きつけの美容院で聞いてみた。アシスタントの男の子は20歳で2号と歳も近い。 「うーん、スケボーがほしいっすね」 「ごめん、スケボー以外で」 スケボーを馬鹿にしてるわけじゃない。むしろめちゃくちゃカッコいいと思う。ただ甥っ子2号はとんでもなくどんくさい。小学校の運動会で大車輪のように転んだのを私は今も覚えている。 何をするのも遅かった。走れば転ぶ。ゲームをすれば負ける、も

早春のビジネス

1カ月ほど前だろうか。 その日は一気に春めいて、空もスコンと青く晴れていた。 訪問先に行く前に30分ほど空き時間ができてしまったため、 私はEクセルシオールカフェに入った。 コーヒーを買って2階の席を確保し、 ちょっと仕事をしようかとノートを開いたとき、 冷たい風が吹き込んできた。 顔を上げると、紺のスーツにリュックを背負った若い男性が ガラスの引き戸を開けて、テラス席へ出ていくところだった。 ひと足早い春気分で、テラスでお茶を飲んでもいい。 スーツにリュックを背負う

さらけだしあいっこ

私の職場では4月は人物大異動の時期である。転勤してゆく人たち、転勤して来る人たち。今年は特に異動の人数が多かったので、職場の雰囲気が変わってしまうかも(まだわからない)なぁ。元々女性が少ないので女性同士は仲良しだが、それでも誰と誰が特に仲が良いとか、誰と誰はあんまり喋ってるとこを見たことないとかは、ある。そんな中、普段よくお喋りをしていた女性2人組のうちの1人が転勤をしてしまい、数日経ちその残されたもう1人の人に私は問うた。 「仲良くしてた〇〇さんがいなくなって寂しくなりま

あの夜の会話を覚えてる

今年度もなんとか終わった。 もうどうにもならないんじゃないかと思って絶望する日もあったけど、夫の優しさと沢山の美味しいものに助けられて、なんとかなった。 この時期になると先輩とのサシ飲みを思い出す。 社会人2年目の年度末、お世話になった先輩が東京へ栄転することになったので、ランチに誘った。すると、先輩はお昼は忙しないから、夜にしないかと返事をくれたのでサシ飲みをすることになったのだ。 定時過ぎに職場のエントランスで待ち合わせて、北新地へ向かった。お店は気になっていたところ

窓際の後輩くんはお人好しすぎる

私がはやく職場に着いても、 もう既に一年後輩のヒロタくんは 席に座っている。 彼の席は事務室のドアを開けて真っ直ぐの 窓際にあるので、 部屋に入ると一目で 出社していることがわかる。 小柄に、おっとりした目の温顔で 小岩井のカフェオレをよく飲んでいる。 彼とは係が違うので 朝は特段会話するでもなく、 軽く挨拶を交わすくらいで私は席に着く。 静かな空間と朝の新しい空気の中だと 作業が捗る。 だから私も、早く出社するのは好きだ。 しがない経理職員の私の机には 気を抜くとすぐ