マガジンのカバー画像

何度でも読み返したいnote3

92
何度でも読み返したいnoteの備忘録です。こちらの3も記事が100本集まったので、4を作りました。
運営しているクリエイター

#暮らし

長月に 揺れる 風鈴のこと

まだ残暑の厳しい九月のはじめ。 灼けるアスファルトの上を 先へ先へと急ぎ歩くなか、 信号待ちに 足を止めたときのことでした。 凛、、凛、、、 どこからか、懐かしい、涼やかな音がします。 日傘を下ろして、あたりを見廻すと、 道沿いの家の軒先に 綺麗な風鈴が一鈴、 下げられているのが見えました。 海月のように丸く 下の方だけ少しすぼめた外見は 縁に向かって青いグラデーションの入った 薄手のガラス作り。 そこへ白い糸が通って、 淡い絵をしたためた短冊が キュッと、結ってありま

私はあなたのいない世界で幸せに生きていきますので、あなたもお幸せに。

ふと、考えるときがある。 もう会うことはない、私の人生を通り過ぎていった人のこと。 その人達は好きな人もいれば嫌いな人もいる。 小学生の時に憧れていた近所のお兄ちゃん。 中学生の時に毛嫌いしていた社会科の先生。 高校生の時に私をいじめようとして自滅したあの子。 大学生の時になんとなく付き合ってしまった美容師の彼。 すごく大切で、それがずっと続くものだと思い込んでいたあの人。 良くも悪くも色々な思い入れのある人や、特にそんなに深い思い出もないのに、ふとした時によみがえるもう

非常にタンゴな「ヘンタンゲ〜」の謎

山手線の車内。 程々に混み合う時間だったが、私はたまたま端っこの座席をゲットできた。 乗車時間が長かったこともあり、ゆっくり座ってウトウトとしていたのだが、眠りを誘うような車内のほどよい雑音の中、私の耳はある単語をキャッチした。 ザワザワ.... 「ヘンタンゲ〜〇〇」 「ハハハ」 ガヤガヤ.... 「ヘンタンゲ〜〇〇」 「アー!ヘンタンゲ〜〇〇!」 ヘンタンゲ? なにやら聞いたことのない単語が聞こえてきて、目を開けると、ちょうど私の前に立っていた男性二人が仲良く