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これからのSNSコンテンツを考えてみる 〜僕がTwitterで天声人語っぽい日記を書いてる理由〜 #藤井ノ日記

先月からTwitterにこんな日記を載せています。

藤井之日記_20200822

昔から新聞の「天声人語」や「編集手帳」が好きで、あのコンパクトにまとまった美しい文章の中にとんでもない面白さが凝縮されているのがたまらなく好きなんです。

元々日記が好きでよく書いていたのですが、天声人語への愛が溢れたのと、いろいろと思うことがあり先月からは上のフォーマットで毎日書くようにしています。

これを書き始めて一ヶ月。しばらく続けられそうだなという実感があるのと、これを始めた背景みたいなものを残しておきたいと思ったのでその話を少し。

何年かデジタルマーケの仕事をしてきて、メディアにもかなり直に触れることを続けてきたので、その経験から考える「これからの時代に適したコンテンツとは」みたいな話だと思ってください。

1.表示速度とか言ってらんない。時代はSNS完結。

まずもう今の人ってリンクとかクリックしないんじゃないかと思ってて。

僕もそうですもん。読もうと思った記事があればとりあえず「いいね」して後で読むリストに貯めておいて、クリックしても長ければ読みきらずに後日続きを読む。SNSからその場でリンク開いて記事を読み切る人って、今やめちゃくちゃ少ないと思うんです。

それに加えて、先日Twitterでトップツイート優先表示の場合に限り、URL付きの投稿がTLに表示されにくくなったという仕様変更が話題になりました。

Twitter・Instagram等のプラットフォーマーはユーザーを流出させたくないので、外部へのリンクをできる限り減らしたいと考えるのは当然のこと。

SEO的にもページの表示速度やタイトルは確かに大事ですが、今はもっと前提条件として、インスタントに消費・吸収できる情報じゃないと、ユーザーにもプラットフォーマーにも受け容れられない。そもそもページに来てくれないんだから、その前段階のSNSで情報を受け取ってもらわないといけないですよね。

だから、Twitter内で画像を表示するだけで読める日記の形式にしました。

2.Bosyuや質問箱ってタイムラインでもすぐ分かるよね

少し前に知人と話してて、Bosyuや質問箱のすごいとこって、「簡単に目立つフォーマットで画像(OGP)付きのSNS投稿ができるとこ」だと思うんです。

「ユーザーが投稿する→TLで目に留まる→別のユーザーも使い始める」っていうサイクルがすごく回りやすい。色やフォーマットが固定されてるから、常に大量の投稿で溢れるTLの中でも認識されやすいんですよね。

UGCのフォーマット化というか、OGPのハックというか。漫画アプリ「アル」のこの機能とかもそうですよね。

情報過多なTL上で、自分のコンテンツだけを目立たせる方法を考えた時に、既に世に浸透してる「天声人語」の新聞っぽいフォーマットを借りようと思い、あの形にしました。

3.人間が読める字数の限界って600字くらいなのでは?

僕はテキスト主体のWeb記事を読んでいると、大体1200〜1500字くらいで一度集中力の限界が来ます。面白ければ息継ぎをして再開するし、そうでなければそこで離脱します。

僕は比較的記事を読みますし、活字もよく読みます。となると、一般の人ってもっと早く限界が来るんじゃないかと思うんです。

SEOタイトルは32字。Twitterは140字。アイドルの日記は300〜400字。編集手帳は458字で、天声人語は603字。

調べてみると、人間が1分間で読める文量って500〜600字くらいなのだそう。新聞という超大衆向けメディアで選ばれている字数がちょうどそれくらいなので、概ね正しい気がします。

動画や漫画ならともかく、テキストだけでSNS上の人間の目を1分も引き止めるのって、多分めちゃくちゃ大変なことだと思うんですが、それくらい面白いこと書かなきゃなって自負と、文字サイズのバランスを考えて、字数を670字前後に決めました。

4.世界は人間を馬鹿にしようとしてるからそれに抗いたい

ここで言う「馬鹿にする」は「退化させる」という意味です。

TiktokもInstagramもYoutubeも、今のSNSって全体的に人間を馬鹿にしようとしてると思うんです。彼らからしたらユーザーが脳死でコンテンツを消費して、プラットフォーム内を無限に回遊してくれるのが理想なので。

要は「自分のペースでコンテンツを消費する」というコントロールがしづらい世の中になってきたなと。これは宇野常寛『遅いインターネット』を読んで、漠然と感じていたのが言語化された感覚でもあります。

でもそれってめちゃくちゃ危険なことで、その先にあるのは自分で物事を選ぶ能力の喪失だと思うんです。その中では文化は廃れていくだろうし、個性はよりツルツルで掴み所の無いものになっていく。そして何より僕はその世界あんま好きじゃなさそうなんですよね。

別に僕の日記を読めば賢くなれるって訳じゃないんですが、「せめて自分が見えている物事くらいは共有して楽しめる世界であって欲しい」という希望を込めて、自分の経済圏を守るために書いてます。こういう考え方もあるなとか、話に出てきたお笑いコンビ面白そうだから見てみよ、くらいの気持ちで読んで欲しいです。

5.日記を読むのも書くのも大好きだから

僕は元々『このピザあなたと半分こ』というカルチャー寄りのブログを書いているのですが、このブログを始めたきっかけがヒコさんのブログの日記でした。

何を聴き、何を読み、何を見て、そして何を感じたのか。他人の思考を覗き見て、今まで持ち得なかった感情や視点に気が付くその体験の面白さを教えてくれたのは、他でもない彼とそのブログなんです。

過去と現在を織り交ぜながら描かれるカルチャーまみれの彼の日常は、色彩豊かで読んでいて面白く、彼に憧れて日記を書き始めました。

これまではブログに載せていたんですが、しがない一般人の日記なんて大して読まれないんですよね。一時期は月間15万PVくらいのブログでしたが、日記のPV数なんてたかが知れていて、もう少し別の方法を探す必要があるなって。

そもそも日記って、人気や影響力がある人が書いて初めて意味があるんです。トピックが散らばりがちなのでSEOにも適してないし、SNSでも拡散されにくい。

じゃあちゃんと読んでもらえて拡散もされやすい日記のフォーマットを考えた時に、この天声人語型の日記を思い付きました。

藤井之日記_20200903

実際ブログのリンクを載せていた頃に比べると、インプレッションに対してのクリック(画像表示)率は3〜5倍ほど。続けているとこの形に慣れてしまうのでクリック率は逓減しているんですが、RTとかされるとやっぱり伸びます。初めて目にしたユーザーが、気になって見てくれるんですよね。

これから少しずつ形を変えて飽きられないようにしながら、読みやすいフォーマットに整えて行きたいなと思ってます。

6.今の仕事で「面白さ」を伝えるのに活かしたい

今僕がいる日本茶の世界って、一歩入ってみるとめちゃくちゃ面白いんです。でもその面白さって、やっぱり「一歩」入ってみないと分からない。

20200909_下窪勲製茶004

生産者やお茶屋さんから聞いた話を記事にもするんですが、それはやっぱり「興味・知識を持った人がガッツリ楽しむコンテンツ」になってしまうんですよね。

これまでのお茶業界はそれができなかったから衰退してきた訳で、もう少しライトな層に、手軽にこの面白さを伝えて行かなきゃいけない訳です。

そんな時にSNSはぴったりなんですが、問題は情報過多のこの時代。あくまでゴールを上記のコンテンツに据えるのであれば、やはりTLの中でしっかり情報を掴んでもらって、吸収してもらわなきゃいけない。そこで面白いと思ってもらえて初めて、僕らのブランドやWebのコンテンツに興味を持ってくれるというのが僕の考え方です。

SNSはあくまで入り口で、その先にある本当の面白さは動画やテキストの高密度なコンテンツじゃないと伝えきれない。それくらい、今僕が感じているお茶の面白さって高度で、読み手側にもコンテクストが要求されるものなんです。

というか、これからの時代に残っていく「面白さ」ってきっとそれくらいの強度を保ったものだけだと思うんですよね。分からない人には分からなくて、むしろそういう人が大部分になっていく。

僕らは、お茶がそこに取り残されないように、SNSとWebを上手く使い分けながらコンテンツを作っていかなきゃならない。今感じているこの面白さを、少しでも多くの人に届けるために、僕も意外といろいろと考えています。

来月あたりからFETCのアカウントも動かす予定なので、良かったらチェックしておいてください。

https://twitter.com/far_east_tea

最後に

僕の日記は、主にカルチャーと人間と地球のことが書いてある、正に雑記と呼ぶに相応しいものです。それでも、僕が日々感じた「面白さ」を少しでも多くの人と面白がれたらなと思うので、是非読んでみてください。下のモーメントか、Twitterで「#藤井ノ日記」って検索すると出てくるので。

Twitter モーメント|天声人語っぽい日記【2020年8月】

Twitter モーメント|天声人語っぽい日記【2020年9月】



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