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共有できる思い出を

母は仕事人間だ
頼まれたら断ることのない性格と
体が動くうちは働いていたいという本人の希望もあって
早朝から夜まで働いている
イヤイヤではなく、それで本人が楽しんでいるのなら良いと思っているけど
夏休みで帰省していた姪が「ばあばは?」と毎日言っていたと聞き姪を少し気の毒に思う

バスツアーに9人組で参加をされたのは
下は小学生から上は80代という
家族旅行を楽しむ3世代のお客さんだった
もともとは老夫婦で旅行を計画していたけれど
せっかくだから娘家族を誘って家族旅行にしようと奥様が提案されたそう
(ここでも魔法の言葉「せっかくだから」が発動している)

フェリーに乗って離島を満喫する日帰りツアーの最中
家族みんなで写真を撮りあったり
テーブルを囲んで美味しい料理に舌鼓を打ったり
お土産をワイワイ言いながら選んだりと
見ているこちらも幸せな気分にしてくれる家族だった

ふと、亡くなった祖母のことを思い出す
国内外を旅行していた祖母だけれど
そういえば共有する旅の思い出は少ないな、と思う
誕生日や敬老の日に旅行をプレゼントして
一緒に行けばよかったと今さらながらに後悔する

大切な誰かの最期を見送るとき
どんなに大切にしていたものでも
形あるものは持っていかせることができない、お金も同じ
この世を離れるとき、どれだけあっても邪魔にならず
胸に抱いていけるのは、やはり思い出だけ
その思い出が一緒に共有できるものであれば
なおさらこちらも心穏やかに見送ることができる

恋人や友人と行く旅ももちろん楽しいけど
たとえば年に一回、家族で行く家族孝行旅があっても素敵だ

仕事人間の母にも
温泉旅行でも行かないかと季節が移ろいだころに誘ってみよう
母にも姪にも、そして私自身も共有できる思い出を作りたいなと思うから

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