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アフガン・タリバン問題の背景にあるもの(8月15日の持つ意味)

米国のアフガニスタン撤兵表明から疾風の如く首都カブールを陥落させたタリバン。この世界をアッと言わせた驚きのメカニズムについて考察してみました。あくまで私見です。

1  アメリカの占領政策の惨敗

  この話に入る前に。。

 1979年の旧ソ連によるアフガン侵攻から2021年8月15日のタリバンによる首都奪還までのアフガニスタン情勢を駆け足でレビューしてみましょう。

  🔹 1979年12月24日、旧ソ連が突如アフガニスタンに侵攻(スタローンの映画「ランボー」でも紹介されてます)

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  🔹 米国は当時ムジャヒディン(脚注:※)と共に戦闘していたオサマ・ビン・ラディンらを軍事的にバックアップして旧ソ連軍に対抗・抗戦。これが事実上の米ソの代理戦争に ※アラビア語で「ジハードを遂行する者」を意味するムジャーヒドの複数形。

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  🔹 この紛争により、15,000人のソビエト軍と100万人以上のアフガニスタン人の命が奪われ、侵攻から9年後ソ連の屈辱的なアフガニスタンからの撤退で終結

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  🔹 この紛争は地政学的に劇的な結果をもたらし、1991年のソ連崩壊へのトリガー要因となり、同時にムジャヒディーンと共に戦ったビン・ラディン及びアルカーイダの台頭を誘引

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  🔹 その後米国が2001年「9.11米国同時多発テロ」を契機にビン・ラディンを匿うタリバン主導アフガニスタン政権と衝突・戦争突入。鎮圧後暫定政権の樹立・占領政策を展開。米軍の同国駐留を開始

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  🔹 トランプ、バイデン政権が米国のアフガニスタンからの撤兵表明、中露からの助力を得たタリバン政権の軍事力増大・首都侵攻そして今回の大統領国外脱出

 今アフガニスタンで起きていることは、明らかにアメリカの占領政策失敗が主要因であり「起きるべくして起きた」事案だと考えられます。

 アメリカは第二次大戦後原爆二発を投下した日本の占領政策に着手・成功しそれは今でも継続中ですが、何故成功したのでしょうか?

 私見ですが、要因として以下が挙げられるのではないでしょうか?

   🔹 そもそも日本が単一民族国家で天皇陛下の元団結していたこと

   🔹 連合軍司令官マッカーサー元帥が昭和天皇の戦争責任を追及しなかったこと

   🔹 上記が当時の日本における武装解除を脅威的スピードで推進したこと

   🔹 3S(Sex、Sports、Screen)政策がたまたま日本民族にマッチしたこと

  これらをアフガニスタンに当てはめてみましょう。

   🔹 アフガニスタンは多民族国家

   🔹 日本の天皇陛下にあたる、カリスマ的シンボリックな人物がいなかった

   🔹 アフガン占領政策におけるアフガニスタン国内の武装解除が進まなかったこと(背景には中国、ロシアが存在していたとみられますがこれについては別稿にて)

   🔹 アフガニスタンはイスラム国家で精神的支柱が強固で、故に安易な3S政策に付和雷同しなかった

 これをご覧になってお分かりのように、日本で成功した占領政策は悉くアフガニスタンで頓挫しました。2001年から20年経過した現在でも占領当時とほとんど変化が無い現状に米国は苛立ち、無駄金をドブに捨てるが如きの政策を放棄するに至ったと思われます。結果、米国によるアフガニスタン占領政策は見事に惨敗に終わりました。

 何故失敗したのか?それは米国が日本での占領政策成功という成功体験を何の応用・柔軟性もなくそのままアフガニスタンに適用するという傲慢で応用力そしてイスラムに対するリスペクトのない政策を展開したからに他ならないものと思われます。

2  第二次大戦後の日本で占領軍が天皇陛下の戦争責任を追及していたら?

  私が上記で述べた項目に鑑みると、可能性は殆どなかったとは思いますが当時の残存日本軍による徹底抗戦と武装解除の遅延により今のアフガニスタンに近い情勢になっていたのではないかと考えます。

  本稿を書いていてふと気付いたことがあります。

  タリバンが20年間にも及ぶ米国の占領政策から首都カブールを奪還した日、それは「8月15日」日本の終戦(敗戦)記念日だということを。

  単なる歴史上の偶然かもしれませんが、書いていて不思議な感覚に陥りました。

3  そして最後に笑う者は?

  それは、中国とロシアです。中国は自らの「裏庭」「喉元」で親米国家が誕生することに大いなる危機感と忸怩たる思いを抱いていたことは容易に想像できます。しかし占領政策開始直後には行動せず、20年間かけて粛々と2021年8月15日を待ち続けてきたところに中国の底知れぬ恐ろしさと計画性を感じます。昨日中国のスポークスマン 華報道官によるタリバン政権誕生を歓迎するメッセージにもみられるように「してやったり」感満々ですよね。今後中国は、もう二度と米国にアフガニスタンを渡すことは決してないと思われます。米中戦争で米国が中国に徹底勝利して再びアフガニスタンを手に入れない限り。

4   おまけ

  今回のアフガニスタン情勢は、中国ロシア連合の勝利すなわち米国にとって屈辱的な結果に終わりました。そして、上記の「ふと思った」ことを更に妄想してみると

  中国はわざわざ8月15日を選んだのではないか?

という憶測にたどり着きます。2001年の米国同時多発テロ発生日が「9.11」であったのは米国の緊急電話番号である911にかけて発生したという都市伝説があります。

  今回のアフガニスタンで起きたタリバンによるカブール奪還とガニ大統領の逃亡は誰がみてもその結果が8月15日になるような脅威的なスピードで終結しました。もしそれが中国による意図的なバックアップだとしたら。。。

  米国にとって8月15日は対日戦争の勝利日であり、同時にアフガニスタンにおける歴史的な敗戦日になるよう中国によって仕組まれていたとしたら。。

  中国恐るべし。

  最後までお読みくださり、ありがとうございました。

  この問題については引き続きあれこれ考察と妄想を続けていきたいと思います。



 

  

 


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