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オブリ研 : "The Girl from Ipanema"(1)
1: 曲について ←Now
2: 作例Oさん(tb)
3: 作例Mさん(tb)
4: 作例Fさん(tb)
5: 作例私(tb)
みなさんみてくれてどうもオブリガード!
オブリガートの作例研究です。
今回は、みんな知っている、けど難しいイパネマ。
曲の出自
1962年、ボサノバの神様「アントニオ・カルロス・ジョビン」の曲。
コパカバーナビーチを歩いている噂の美少女「エロイーズ」に事寄せて作曲したらしい。
「あの子のこと気になるけど、声かけられないんだ…」みたいなシャイボーイの歌詞なんだけど、実際には、ジョビンもモラエスもめちゃプレイボーイで、むしろヤリチンサイド。
よう言うたなオイ、です。
モラエスなんて、9回結婚してるらしいよ。
構成
A-A-B-Aの構成(便宜上A-B-C-Dパートとします)です。
Aメロは、比較的シンプルな8小節のケーデンス。しかし、3〜4小節目にノンダイアトニックのG7に行ったり、6小節目ではGb7+11みたいな半音進行になっていたり、ちょいちょいボサノバらしさが顔をのぞかせます。
そもそも半音で行ったり来たりするイントロの時点で独特の調性感をだしますよね。
ボサノバは、半音の内声進行を重視したサウンドが特徴でそれをコードフィギュアに落とし込むと、結構複雑なテンション表記になります。
Ipanemaの娘は、コードワークなどの複雑さはボサノバを代表する曲といってもいいでしょう。それゆえに、かなり難しいですね。
アドリブソロも結構難しい。
So Danco sambaという曲があります。イパネマが苦手な方は、まずはこの曲をどうぞ。
おそらくIpanemaの習作ではないかと僕は思っているんです(…けど、同じアルバムに入っているんかい!笑)この曲は比較的シンプルです。
Aメロの基本構造はイパネマの娘に同じ感じ(コードはシンプル)Bメロはよくある歌もの進行でめっちゃシンプルです。
これは割といけるはず。というか、イパネマができて、これができない、というのは多分ありえないと思います。
イパネマに攻めあぐねた場合は、まずはこちらを。
話をイパネマのコード進行に戻します。
Bメロです。コード難しいですよね!
アナリゼも、なまなかではいきません。バークリーシステムでアナライズしても複雑極まりない度数記号がついちゃって「Non-Diatonicですね…すげー転調してますね」というのがわかるだけで、結局のところようわからん。
こういう「わからん曲」。
わかるまで手を出さないか、わからないなりに飛び込んでみるか。
「理屈とかわからんけど出てきたコードに合わせてそのまま吹いちゃう」なんてのも、ジャズあるあるなわけです。
海外にいってブロークン・イングリッシュでなんとかするのと同じ。
イパネマは、知名度が高く頻出なのに曲の難易度が高すぎます。
ゆえに、多くの人が「わからないなりに飛び込む」パターンになりがち。
序盤で出会う中ボスにしては、ちょっと強すぎる。
正攻法でこれを倒すのは、難しい。
ジャズ研の学生さん。
わからなくても大丈夫よ。
理解してなくて吹いてる人は結構沢山いるから。
実際僕でさえも「あーそういうことか、そういう風になってんのかー」と気づいたのは40を超えてからでした。お恥ずかしい話ですが。
なので、安心してください。
もちろん、わかるに越したことはありません。
大きなヒントはBメロの2段め・3段目のF#m7とGm7ですね。
それぞれ平行調のメジャーのA⊿7とBb⊿7に読み替えると、流れが見えます。
またそれぞれの段3-4小節目にV7だけ書いてあるやつを IIm7-V7と書く。
そうすると、割とわかりやすくなる。
1−2小節目→3-4小節目が、SD→SDMみたいな流れになりますね。
そして、1段目を除けば、次の段へはそれなりにコードの関連性はある飛び方はしています。なんか、ひょいひょいっと義経八艘飛びみたいにコードチェンジをしているわけです。
ただ1−2小節から3−4小節のMajor→Minorがいけるだけでも、だいぶ糸口が広がるはず。フレージングを行う場合にはこういう流れを大事にして「効かせる」音を効果的に使ってください。
まあ今回はオブリガートなので、自由にフレージングはしませんけど。
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名演
ゲッツ・ジルベルト
もう疑うこともない、名演中の名演。ルーツです。
しかし、ジョアン・ジルベルトの妻であるアストラッド・ジルベルトはたまたまスタジオに遊びに来ていて歌ったりとか(ゲッツは「あの女、ノーギャラでよくない?」とか言ったとか)スタン・ゲッツとジルベルトの間の確執だとか、まあなんか、クールでリラックスしたサウンドとは裏腹に、舞台裏はゲスもゲスな感じであったようです。
いやあ、音楽史って本当に面白いですね(棒読み)。
イパネマは、本当に色々なバージョンがあるので、自分なりのイパネマを掘り起こしていただければいいとは思います。
オスカー・ピーターソン
ボサノバか?と言われると、ちょっとむずかしいところですが、当代最高のジャズマンが、原曲は(悪い意味で)「素材」として流行りものに手を出してジャズで仕立てたと考えましょう。だからこそ、結果的には紛れもなくジャズです。オスカーピーターソンらしさが存分に味わえます。
サンバジャズシンジケート
Youtubeで拾ってきたのですが、これ、Ipanemaを七拍子でやっています。
複雑なコード進行を複雑なリズムでやるというのは、複雑さの掛け算となって、そんなに効果的ではないのでは…とも思うんですが、イパネマってまあ、みんなやる曲ですもんね。これくらい手をかけるとオリジナリティが生まれるような気はする。
まとめ
「イパネマでもやろっか」みたいに取り上げられるレパートリーではありますが、コード進行はかなり玄妙で難しいですよね!
低学年のジャズ研諸君は、アドリブに関しては、最初はBメロだけでも作っておくのも手だとは思いますね。
Bメロ(Cパート)については、後半3〜4段目から手を付けるのがおすすめです。特に2段め、自由に歌いにくいわ。
そしてイパネマでも、ある程度自由に吹けるようになる日もあろうかと思います。地道に練習しましょ。
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