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スケールの話

スケール、とかなんとかいいますけど、正直わからないんです。
頭がおかしくなりそうです。自分が何もわかっていないみたいで…
スケールわかっとかなきゃだめですか?

ジャズ勉強中の若い子より

はいはい、スケールの話ですね。
(スケール↓じゃなくて、スケール↑みたいに発音しますね。なぜか)
「ジャズ研」では、それまで聞いたことがない用語にめんくらうものですがいろんな「スケール」の話もたくさんでてきます。
ドリアン?
クラシアン?
デロリアン?

デロリアン

結論

  • スケールやらなんやら、そういうのを知っておいた方が、いろんなジャズの解析するには便利であることは確か。

  • 初学の段階で必要か、といわれると、微妙。

  • トロンボーン・トランペットに関していうと、スケールうんぬんよりは、メジャー・マイナーのドレミをきっちり練習しましょう。まずは。

  • スケール(Available Note Scale)はいずれ必要です。その時に再学習しても十分問題ない。でもトロンボーンで必要なのはジャズ研換算で3年生以降ですわ。

もちろんジャズは論理構築性が高い音楽ではあります。
が、まず、ドレミさえおさえていれば、全然大丈夫やで、とはいいたい。
逆にドレミがきちんと歌えないなら、結局あたまでっかちで終わっちゃう。
日本語文法に詳しいコミュ障より、文法無視してコミュ力高い人の方が強いじゃない?それと同じ。

なぜスケールがいらないといえるのか?

注:トロンボーンの自分の体験から語っています。ピアノ・ギターはまた話が違うとは思いますけど。

特にバップスタイルの場合は、コードチェンジがひんぱんです。
一つのコード領域に吹ける音数って、せいぜい4つとか8つ。スケールの中でピロピロする余裕はない。むしろ、素早いコードの変化に対してはコードアルペジオを意識した方が近道です。
バップで重視されるバーティカルな動き(Dominant Motion)に対しては、スケールに基づいた考えはあまり有効ではない。
また、コードに対して使える音=スケールを選ぶ手法は、アドリブが単なる「コード音ハメゲーム」になる危険がある。
メロディー楽器は数小節、いくつかのコードにわたるゆったりしたフレージングを心がけたい。その意味でもシンプルにドレミで考えることは大切。
Jay.Jay.Johnsonも昔のインタビュー記事で、コードアルペジオの練習主体と言ってたような記憶があるなあ。
また、Two-Fiveでは、スケールよりは調性(転調)で考えた方がラク。

スケールが必要になる時

では、スケールは無駄なのか?というとそうではない。
ホリゾンタルな動きに対してはスケールはかなり有効です。

10年前からピアノ触るようになりましたが、ピロピロ弾けるところにさしかかり、考えが変わりました。一つのコード領域に10〜20以上音を並べなきゃいけない場合は、コードアルペジオ的な考えだと今度はフレーズがでてこないんですよ。この場合はスケール的な考えの方がしっくりきます。

モードもそうです。速い曲でなくても一つのコードで示される領域が広い。その分スケールを適用しやすい。

なので、ホリゾンタルな進行、モード、速弾きのフレージングに関してはスケール的な考えが有用です。

トロンボーン

トロンボーンでジャズを始める場合、トラディショナルかモダンがほとんどで、いきなりコンテンポラリーの人は少ないはず。
そのスタイルなら、まずすべてのKeyでメジャー・マイナーのドレミ(ドレミファソラシド、とラシドレミファソ#ラですね)を適切に吹ける(歌える)ようにしましょう。
理論なんざあとまわし。
まずはドレミをじっくり練習しましょう。
(絶対音感にしろ相対音感にしろ音感がある場合、ドレミの練習はいらない場合もあります。)

ドリアンとかイオニアンとかエオリアンなどのチャーチモード。
あれは全部「ドレミ」で考えて最初は問題ないです。

その次に、ドレミでは表現できないスケール、

  • ブルーノート

  • コンディミ(今はディミニッシュスケールといいますね)

  • ホールトーン・スケール

をやりましょう。
いわゆるAvailable Note Scaleは、その後にやればいい。

まとめ

  • トロンボーンのように音数が限られた楽器では、スケールよりはアルペジオ。そしてドレミを練習してください。

  • ホリゾンタルな動き(モードとか、ファンクなどの一発もの)の場合はスケールも有効であると思います。

「アドリブを始めよう」となりますと、スケール・コード・コードテンションとか難解な音楽理論のセットを習得しないといけないと思いがちです。
でもそれってハイキングに行くのにエベレストに登るような装備を要求するようなもの。
まずは軽装備でハイキングでいいやんか。ハイキングを楽しんで「この装備ではそれより高い山には行かれへんな」と思ったら、あらためて理論にふれる、でいいと思います。気軽に始めましょう!

(確かに「山を舐めるな!」と、アドリブの際にハードルを高く設定する先輩もいますけどね…。あ、音大は別よ。これは登山家コースだから)



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