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夏の終わりのあったかぜんざい 

 夏もそろそろ終わり。まだまだ蒸し暑くて、涼しい秋がちょっと遠そうだけれど、無性にぜんざいが食べたくなって、お仕事帰りに寄り道。寄り道したのは、甘味処の老舗、神田にある竹むらさん。お餅が大好きな私は、迷わず餅ぜんざいを注文。もうちょっと涼しくなったら、あわぜんざいも頼めるんだそう。ゆっくり店内の雰囲気を味わっていると、お待たせいたしましたと運ばれてきたお椀の中には、ほっこり焼かれたお餅の上に、丁寧に炊かれた餡がたっぷりと乗ったぜんざい。口に運ぶと、まろやかなあんこと、ふかふかのお餅のとっても心地の良いおいしさが広がって、ほくほくと嬉しくなる。
 あんこに目覚めたのは30代に入ってからなのだが、それ以来よく頑張ったなぁ(自分なりにね、自分なりにでいいんです)という週末は時々甘味処へ寄り道している。じっくり炊かれたあんこの入った甘味を食べると、なんだか元気になって、お休み前にはとっても良い。
 あんこの歴史が気になって調べてみると、弥生時代、日本では無病息災や魔除けを祈願する行事に小豆を使った料理が食べられていて、というのも、小豆はアジア熱帯地方原産で、弥生時代に稲作ととともに伝わったといわれているのだが、中国で古くから小豆の皮の赤い色を「陽」と捉え、災いなどの「陰」を封じると信じられており、それが日本でも無病息災や魔除けを祈願する年中行事に赤飯やおはぎなど、小豆を使った料理が供されるようになったのだそう。そして甘いあんこが誕生したのは、室町時代末期から南蛮貿易で砂糖が流通するようになってからで、そしてもうちょっとして江戸時代になると、砂糖の国産化が進み、全国で砂糖の生産が増加し、一気に甘いあんこが庶民にも広がったのだそう。おいしい甘味をいつでも食べられるだなんて、今の時代に生まれて良かったなぁとしみじみ思う。そして厄除けにもなるだなんて、なるほどあんこを食べると元気になるわけだ。
 もうすぐ月見団子、栗むし羊羹の季節だな。和の甘味って、厄除けになって、元気にもなるうえに、季節の移ろいを楽しむことができるだなんて、改めて素敵だなと思った週末の今日この頃。今週もおつかれさまでございました。

(訪れた甘味屋さん:神田にある「竹むら」さん)



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