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まっさかさまより、まっしぐらに生きたい

仕事をクビになるとわかった夜、母親に電話した。

「会社をクビになるなんて、人生で経験しない人も多いであろう、クレイジーな出来事が起こった!これは是非、母親に報告しなくては!」という一心だった。
静岡に住んでいる母親とは、この何年か、そういう関係を続けていた。
そういう風に、いろんなことを、一緒に笑い飛ばしてきた。
見る人が見たら、「ピンチ」という、そういう状況を、わたしたちはなんでもネタにしてきた。
案の定、彼女は「すごいチャンスだね」というようなことを、言っていた気がする。

兄から連絡がきたのは、その数日後だった気がする。
「母から聞いた。大丈夫か?」と、様子を伺う連絡だった。
「大丈夫だよ、仕事クビになっただけだし」と答えたら
「仕事なくなるのが、一番大丈夫じゃないと思うんだが…」と返された。
兄は、まっとうな人だと思う。

「まっさかさま」という言葉を久しぶりに聞いた。
最近、Voicyを聞いたり、YouTubeを見たりしているので
そのどれかで、
やっぱり「お先真っ暗」的な話だったと思う。

「まっさかさまより、まっしぐらに生きたい」

その日のわたしのメモには、そんな風に残されていた。


「まっさかさま」と「まっしぐら」は、
同じ状況下で使える言葉かもしれない、と思う。

仕事をクビになったことは、
兄からしたら「まっさかさま」の状況だったので心配されたし、
母やわたしからしたら「何かにまっしぐらに生きることができる、ものすごいチャンス」として映った。

だったら、まっしぐらに生きたい。
辞書をひいたら、まっしぐらとは「激しい勢いでひたすら進む様子」と書いてあった。
いまのわたしに、なんだかぴったりだな、と思う。

そして怠惰なわたしは、
少しでも気を抜けば「まっさかさまにもなり得る」ということに怯えている。

怯えを振り払う方法は、手を動かすことしかない。
ということには、もう気がついてしまった。

だからわたしは今日も、「まっしぐらに」
パソコンとピアノがある、このデスクの前に座っている。


photo by amano yasuhiro

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