見出し画像

適所と、おにぎり

「最近は、どう?」
 ソファーの、隣に座る友達に声をかけた。
 この子は、2,3ヶ月に一度は会っていて、前回の悩みは仕事のことだった。

 どうしようもない上司については「期待をせずに無視する」ということに決めたらしい。それでいいと思う。
 人は、「どうして先に言ってくれなかったの?」ということに腹を立てるし、それを細分化してゆけば、結局のところ、相手に期待をしているということだと思う。
 進化の反対は、退化ではなくて変わらないこと。
 好きの反対は、嫌いではなく無関心。
 中学生のころ読んでいた、少年サンデーにそんなことが書いてあったような気がする。

 話は、他部署の上司の話に変わり、そちらもなかなか大変らしい。
 その部署は”臨機応変”が重要なのに、すべてをマニュアル化することを徹底したい人が、その席に座っているという。
 刹那、「うわァ、めんどくさそうな人だな〜〜〜」と、確かに思った。
 マニュアルは大事だけれど、臨機応変だって大事だ。
 っていうか、臨機応変するためのマニュアルだし、だから人間だし、意志がある。ときには自分で「エイッ」と決断して進まなきゃいけないときの、後押しがマニュアル。
 この「エイッ」ができない人と働くと、いちいちこちらに質問がきたり、チェックしなきゃいけなかったりでタイヘン。「同じ時給でコイツと働いてンのか……」と思ったことがないとは言わない。
 けれども場合に於いては「マニュアル以外のことは上司に確認する」が必要な現場もある。ということも思い出した。

「その人に、もっと適した配置があるだろうにね〜〜〜」

 自然と、そんな言葉がでてきた。
 マニュアルを作るのが得意で、いろいろ確認しなければ不安な性格。
 「エイッ」とゆくよりも、慎重に地固めしたいタイプ。
 それは、なんだかとても素敵な才能に思えた。

「そうなんだよ〜〜〜」と、頷く声が返ってきて安堵した。
 それはなんだか、わたしのことも励ましてくれているような、本人にそんな気はなくても、ぶわりと暖かい声だった。


 わたしにも、あるのだろうか。
 もっと適した配置。自分が輝ける場所。
 いま、苦しいのは、自分の良さが理解できていないからとか、その良さを発揮できる場所にいないからだろうか。
 また、すべてを投げ出すには早すぎる場所に立っているだろうか。

 漫画「フルーツバスケット」では、おにぎりの話が好きだった。
 みんな、背中におにぎりの具がついていて、それは自分で見ることができない。誰かに見つけてもらうもので、あなたの背中にも、すてきなおにぎりの具がついていますよ。というような話だった。

 わたしはどうしようもないやつで、毎日眠りすぎて、やる気があるのは最初だけで、「やらなきゃいけないこと」を溜めすぎてしまう。
 あなたの持っている大半を、わたしは持っていない。
 どきどき、「アタシだってやればできるじゃん」と自信に満ち溢れる瞬間もあるけれど、誰かと比べてシュンとしぼむ。


 それでも、きっと
 わたしにも適した配置と、すてきなおにぎりの具があるような気がして。
 それは、「そう思う」ンじゃなくて、あなたがそう、言ってくれたから。

 やる気も才能も、空から降ってこない。
 だからもう少し、探してみようと思っている。

 もっとラクして、生きてゆく方法を。





▼タロット占い屋さんやってます

▼その他、おしゃべりなど。気軽に声かけてね

▼内緒話は、メンバーシップで



スタバに行きます。500円以上のサポートで、ご希望の方には郵便でお手紙のお届けも◎