「楽しくなってきたね」
急に、「電話してもいい?」なんて、びっくりしたよ。それも、23時でも構わないって。
電話を受けるときは、「どうしたァ?」って言うようにしている。もう、十年よりうんと前にだけれど、言ってもらって嬉しかったことを、忘れていないから。もし君が、どうもしていなくても。どうかしたことを、話せなかったとしても。
わたしはそれを、聞くつもりがあって、できるだけ寄り添いたいと思っていることを、願わくばそのひとことで、伝えたかった。
話を聞いて、一緒に考えて、「心がラクになったよ」という言葉と、彼女のすなおさに安堵した。
「わたしも元気になったよ」と伝えた。頼ってくれて嬉しかったよ。こちらこそ救われた。
「人を励ますと元気になる」ってのは、なかなかの名言だと思っている。
物事はすぐに解決する感じゃなくて、「何が問題が」と「それらの優先順位」を整理しただけで
言ってしまえば「問題は山積み」なわけだけど、彼女は笑っていた。
「楽しくなってきたね」
深夜1時の彼女の、言葉通り軽やかな声は、これからも何度でもわたしの耳元で鳴り、支えてくれるだろうと確信した。
イージーモードのない人生で、何かしら問題やら敵やらを作って、戦い続けるわたしたちが、唇を噛んだり「お先真っ暗」になったりしないで、笑って「楽しくなってきたね」と言えるのならば
もちろん彼女にも悩みがあって、だから電話してきて、何も解決していないのだけれど
きっと大丈夫だと
扉を開け続けることで、どれだけ転んでも、成果が出なくても、後戻りをしても
素敵なところに繋がっていると、信じてゆけるのだと思う。
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