見出し画像

夢を見る者

どんなふうに書いていたんだろう、と思う。

スクロールする。
スマートフォンのメモ帳を
自分の書いたエッセイを

書きたいことは、画面の先にあるんじゃない。
わたしの暮らしの中にあるんだ。
などと、思ったりして、笑ってしまう。

いいんだよ、どこにあっても。
画面の中のわたしは、ちょっと前のわたしで
思ったことをすぐ、エッセイにすることができないから、ただ預けているだけで。

言葉は、どこにでもある。
画面にも、ラナンキュラスの横顔にも、昨日のおしゃべりにも、明太子入りのオムレツの中にも
必ず、ある。

そういえば、眠る前にこんなことを思い出していた。
今日は、3度くらい昼寝をしたので、そのうちのどれかに。

ときどき、思い出す話がある。

「夢は、買うものじゃなくて、売るものだ」

なんて言っていたらしい。
18歳くらいの、わたしが。

「宝くじを買うんだ」と言っていた母親に、言い放ったわたしは格好良かった。
希望に満ち溢れ、怖いものなんてなにもなかった。

思い返せば、本当は怖かったと思う。
東京に行くことも、一人暮らしをすることも、大学に行くことも。
でも、無敵だった。
負ける気がしなかった、

このときのわたしを、そのせりふを、母が好いてくれている。
いまでも、わたしたちの大切な思い出だ。
母は、いまでも宝くじを買っていると思う。

隣の町に、タワーマンションができるらしい。
ゲストルームとか、入居者が使えるオフィスとか、そういうのを兼ね揃えた
あれはひとつの、街だと思う。

間取りやら設備を見てわくわくして
値段を見て絶望した。

そしてあの建物の近くにあった、宝くじ売り場を思い出した。

宝くじを買うかもしれない、と思う。
結局まだ、買ったことはないけれど。
もう、いつ買ってもおかしくないと思う。

このあいだ「10万円当てた」って話を、聞いちゃったし。
わたしの欲しいものって、高額でも20万くらいだから(パソコンと冷蔵庫と洗濯機かな)
10万円あると、すごく助かる。

宝くじを買うより、毎月1万円貯金すればいいのにね。
1万円がむりなら、5000円だっていいのに。
そっちのほうがよっぽど、現実的なのに。

わたしはいま、夢を買おうとしている。

18歳のわたしが見たら、軽蔑するだろうか。
怒るだろうか。
たぶん、どちらかな気がする。

確かに、あのころよりおとなになった。
大学も行って、なんとか卒業して
友達も恋人もできた。
友達は今までもいたけれど、恋人ができたのは人生で初めてだった。
初めてのことがたくさんあった。
ライブをした、やっぱり夢を見た、ときめきをたくわえて、ぐんぐん成長した。

はじめてステージに立ったあの感動を
もう一度手にすることは、できない。絶対に。

それでも、わたしは夢見てる。
次の何かを作ろうと、虎視眈々と狙っている。

人生、おもしろいほうに3000点☆

覚えている、まだ忘れていない。
良い記憶が残っている。
ハチミツとクローバーのせりふ。
きちんと、残っているから。

宝くじは、買うかもしれない。
でも、夢を見せることも見ることも、
もしかしたら、売るほどの夢にならないかもしれないけれど。
ぜんぜん諦められずにいる。




スタバに行きます。500円以上のサポートで、ご希望の方には郵便でお手紙のお届けも◎