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わたしが、未来に残したい風景

あなたと、話をした。

外なのに、暖房があって
あたたかくて、良い景色で。

あなたの、知らないことを知れた。
こういう時間が必要だったのだ、とようやく気づいた。
なんでもなさそうな時間にしか、紡がれない言葉がある。

「ねえ、君はどう?」

自分が話したあと、問い掛けてくれるやさしいまなざしが好きだった。
そうしてわたしも、安心して語り始める。

「また、一緒に来てくれる?」

次は違う遊びもしてみたいし、食べてみたいものもあるんだ。
もちろんあなたの好きなスターバックスにも、連れて行ってね。

「もちろん」という、あなたはそう言う。
あなたの、やさしいところが好きだと思う。
あなたのやさしさは、わたしにも、あなた自身にもしっかりと向いている。と、知っているから。

やさしいひとと過ごす、やさしい時間。

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「何分経った?」
「えぇと、20分くらい?」
「時間のわりに、すごい充実感だね!」

息も絶え絶え、わたしたちはほほえむ。
そうして深く息を吸う。

「登った!って感じだね」
「気持ちいいね」
「自然しかない、というようなところは、ほんとうにすてきだね」
「きっと、人間の本能に刻まれているのだよ」

呼吸を整え、もう一度笑う。

「また一緒に、山を登りたいね」
「難しくないところね」

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「ありがとう」と言って、その日は別れた。
ずいぶんと、すっきりとした気持ちだった。
あなたを知れて、わたしを知ってもらって
そういうときは、紐解かれている。わたし自身のことも。

あなたの笑顔と声、そして紐解かれた心臓が「すっきり」の答えで
明日を生きる気力なのだと思う。
身体はどっしりと疲れているのに、不思議だ。

「また一緒に」と思える場所が、残り続ければいいと思う。

べつに、なんでもいいと思う。
その場所そのものに、すごく価値があっても、なくっても。

毎年冬に訪れる、イルミネーション。
少しだけの登山。
スターバックス。
ファミレスだって構わない。

また一緒に来たいね。
まだまだ遊びたいね。
そう誓った場所がなくならなければ、また来られれば

それだけで、呼吸は続くような気がしている。

帰れる、ということ。
あなたがいた場所に
あなたがいる場所に
あたたかなものが、残っている場所のひとつひとつが

消えなければいいのに、と思いながら。
わたしはこっそり何度も、足を運んでいる。




※今日のBGM




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