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クッキーはいかが?

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1200文字以下のエッセイ集。クッキーをつまむような気軽さで、かじっているうちに終わってしまう、短めの物語たち
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2022年2月の記事一覧

紅茶の祈り

紅茶でも、飲もう。 そうしよう。 作業中のデスクの、 コースターの上が空いていることはない。 もう、絶対にない。と言ってもいい。 デスクのマグカップは、わたしのお守りだ。 * 紅茶は、少し手間だ。 冷蔵庫に常備してあるドリップコーヒーは、マグカップに入れるだけ。 インスタントコーヒーとか、粉タイプのお茶も数種あって、これは沸かしたお湯を入れるだけ。 紅茶は、お湯を沸かしたあとフタをして、ちょっと蒸らさないといけない。 知識として、「マグカップをあたためておくのがい

今日も音の波に揺られながら、言葉を紡ごう。

毎日書くことは、 適切なBGMを選ぶ能力かもしれない * 最近はときどき、そんなふうに思う。 先月から思い立って「今日のBGM」をエッセイの最後につけることにした。 聞いていた曲のSpotifyリンクを貼っている。 そんなことをしていたら、「いろんな曲を聞いてみよう」と思えるようになったのは、ほんとうにふしぎだ。 わたしは、音の海を泳ぐことに決めた。 好きな曲と、作業用のBGMっていうのは異なる。 わたしはスガシカオを愛しているけれど、彼の曲を聞きながら言葉を紡ぐこと

結末

目的地に着いて安堵した。 夢の中で * 間に合わない、と思っていた。 夢の中で わたしは怒っていた。 ほんとうは怒りっぽいひとなのだ、と思っている。 だから、怒らないように、と気持ちをなだめながら暮らしている。 些細なことは飲み込むか、蹴り飛ばすかして。 大切なときに、きちんと牙を向けるように。 間に合わない、という事態で怒ってしまうのは本意ではないけれど これは夢で これは本当のわたし、なんだろう。 すなおなわたし。 いつだって苛立っていた。 理想の自分は、時間まで