そうしてまた、わたしの速度で歩いてみる。
歩けない、と気づいたときには愕然とした。
「うそだろ」
「うそだよね?」
悲劇のようにささやきながら、
「まじかよ」と、笑わずにはいられなかった。
よもや、自分の身体にそんな異変が起きているとは、気付きもしなかった。
わたしというのは、たいていまぬけな生き物なのだ。
*
10日間の療養生活を明けた、朝のことだった。
会社に行こうと家を出て、すぐに気づいた。
いつもの速度で、歩けない。
やろうと思えばできたかもしれないけれど、大変に困難なことで、やっぱりできなかった。
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