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クッキーはいかが?

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1200文字以下のエッセイ集。クッキーをつまむような気軽さで、かじっているうちに終わってしまう、短めの物語たち
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2020年5月の記事一覧

「人目なんて気にしない」、と思っていたのに

郵便局に行ってきた。 手紙以外の物を手紙と一緒に送るときは すぐ、郵便局に行ってしまう。 家で大きさや重さを測って、切手を貼ってしまえばいいのだけれど 郵便局が好きなので、ついつい行ってしまう。 最近は無職で時間もあるし、散歩も必要だしね。 この街の今日の天気予報は、日中曇りの予報だった。 いつ降ってもおかしくない空だなあと思いながら、折り畳み傘だけ持って家を出たのだけれど 出てみたら、霧雨が降っていたので、大きめの傘をさして歩き始めた。 歩き始めてみたら、傘をさしてい

5月17日、朝5時を少し過ぎたころのはなし

朝の街を歩いた。 手紙を書いたのでポストまで、と思ったのだ。 今日、ポストまでこのあと自分が出歩くか、と聞かれると自信がなかった。 うちは、スーパーよりポストの方が遠い。 それに、書いてしまった手紙は 手元に持っていても落ち着かないので、すぐにポストに投函したくなる。 せっかくだし、朝の街を歩こう、と思った。 夜も好きだけど、朝も好きだ。 早起きの朝じゃなくて、 昨日の夜から続いている、というほうの朝。 深夜連を終えて帰る始発の、 あの、夜と朝の入り混じっている感じ。

生まれ変わったら、シーツになりたい

生まれ変わったら、シーツになりたい と、思っていたことがあった。 大学1年の頃だ。 柿生に住んでいた、最初のひとり暮らしの家。 静岡から両親と一緒に大学の近くまできて、探した家。 駅から少し離れていて、1本通りを入ったすぐのところにある。 すごくふつうのワンルームだった。 廊下の途中にキッチンと、ユニットバスへのドアがあって、6畳のワンルームがある。 2階建ての2階。 隣は駐車場。 当時はベッドを持っていなくて、ふとんで暮らしていた。 洗濯機はベランダにあって、 そ