【授業改革】小学校も教科担任制。

現在、小学校では学習のリモート化が進んでいます。撮影した動画は、テレビのサブチャンネルでも放映され、未履修から新学年の学習範囲までをカバーしようとしています。

様々な課題はありますが、動画配信が始まったことは、大きな変革だと思います。教育形態の変化として、今後進んで行くのではないかと予想されるのは、「教科分担制」です。小学校では、学級担任が多くの授業を担当していますが、中学校のように担当する教科の先生が交代で指導するというスタイルを小学校でも取り入れていくのではないかと思います。僕の学校では、「教科分担制」の研究校として指定されています。本記事では、実践してきて見えたことを書いていきます。

「時間短縮」というメリット

教師のメリットは、とにかく「時間短縮」ができることです。

教師の切なる願いは、「教材研究と授業準備」の時間を確保したいということです。子どもの下校を見守り、どれだけ効率的に会議をしたとしても、個人の時間は30分程度しか取れない場合が多々あります。

その日の授業で集めたノートの記述を確認し、次の授業構想を見直す。必要でれば、ワークシートや提示する資料を準備します。これらの内容を、定時内で終了させることは不可能です。しかし、この時間に手を抜くと、教師にとって命である授業が消化不良に陥ります。消化不良が積もっていくことにより、子どもの学習離れや学級崩壊につながっていく場合があるのです。

このような課題を解決するためにも、「教科分担制」は、効果的です。自分の担当教科をしぼることができれば、教材研究や授業準備を精選することができます。また、本来あれば授業をするのは自分の学級で1回きりですが、「教科分担制」の場合は、学年の数だけ授業をすることができます。これが、時間を短縮しつつ、教材研究を深め、授業を充実させることができるというメリットです。

「多面的な子どものみとり」というメリット

「教科分担制」にすることにより、担任をしていない学級の子どもたちに授業をする機会も増えます。学年全体の子どもたちについて、授業を通してみとりを深めることができることもメリットです。もちろん、学年間で子どもたちの姿について情報共有をしています。しかし、授業を通して触れ合う以上の有効な共有方法はありません。

また、子どもたちにとっても様々な先生が授業するというのはメリットだと言えます。教師も個性的であり、授業スタンスが一人ひとり違います。子どもが活躍する場面のつくり方も教師によって変わってきます。教師が教科ごと変わるということは、子どもの活躍場面を広げることにつながるのです。

「授業の硬直化」というデメリット

もちろんデメリットもあります。小学校で担任が全ての教科を受け持つと、時間配分は学級内で完結します。例えば、45分間ではまとめきれない内容を60分で完結させるようなこともできます。また、図工で粘土を扱う場合、作品を作り上げてしまいたい場合は、4時間を使って完成させるように、時間を柔軟に使うことができるのです。また、「総合的な学習の時間の」ように、子どもの主体性に支えられるような学習については、

「先生、もうちょっとこの問題を考えたいです!」

「先生、このアイデアを今すぐ試してみたいです!」

というように、子どもの追究意欲が途切れない場合があります。そんなときに、教科分担制だと、「このまま授業を続けよう。」という選択肢を取ることができないのです。

このように、小学校の授業形態、教師の働き方は見直されつつあります。その1つとして、「教科分担制」は、教師にとっても子どもにとってもメリットが多い改革です。これからも、目の前の子どもたちにとって力を付けることを第一に考え、実践を積み重ねていけるように環境を整備していく必要があるのです。

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