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小説や記事を書くスピードを1.3倍にアップできた工夫

 一日にどのくらいの量の文章を書くことができますか?
「自分はたくさん書ける人間だぞ!」と胸を張って言えますか?

 一日に書ける量が多いのは良いことです。
 量は質と天秤にかけられがちですが、本音を言えば質も量もどっちも大切です。
 であれば、質の方が大事と思っている方も、決して量を無視してよいものではありません。

 つまり。
 今の文章の質を落とさずに、だけど量を増やせる方法があったら、めちゃくちゃ嬉しいですよね!!
 って話です。

 そんな都合のいい方法を求めて私は頭をひねりました。
 ひねったら見つかりました。

 私の考えはこうです。

「一日に書ける文章の量を増やす」とは、すなわち「構成や文章を考えるのに使う時間を減らす」ということであると。

 私はこの考えに基づき、自分の思考を簡略化する方法を作成しました。
 その結果、一日に書ける量がおよそ1.3倍になりました。

 こちらが最近書いた短編作品で、7500文字ほどあります。

 この小説はアイデアを練るところから文章を書くところまで、一日で全ておこないました。
 前日にはアイデアの欠片もありませんでした。

 以前の私は5000文字が安定して書ける量だったので、文章量だけでも1.5倍くらい書けた計算になります。
 だけど実感としては1.3倍くらいの文章量だったので控えめに1.3倍と言うことにします。
 アイデアを練る作業も含めて一日でできているので、いつもの自分と比べるとかなりのハイペースなんですけどね。

 細かい話は置いといて。
 とにかく、一日に書ける量を増やせたのです。

 どうして思考に使う時間を減らすことが大切なのか?
 具体的にはどういう手段でその時間を減らすのか?

 そのアイデアを、順を追ってお話していきます。

タイピングスピードの限界

 書ける量を増やそうとした時、まず思い浮かぶのがタイピングの速度を上げることです。
 文字入力をスピーディにおこなえればそれだけ文章量も増やせる理屈です。

 確かに入力の速度は速いに越したことはありません。
 遅いより速い方が圧倒的に良いです。
 入力速度があまりにも遅いと、100文字後や200文字後に書こうと思っていたフレーズのアイデアを忘れてしまうかもしれないからです。
 頭に浮かんでいるフレーズを逃がさないためにも、アイデアを可能な限り速く形にしてしまえる能力は重要です。

 ですが一日に書ける量を増やそうと考えた場合、タイピングなどの入力速度で解決をはかるのは少し心もとないです。

 というのも私たちが文章を書く時には、文章の文言を考える時間もあるからです。

 しかも文言を考えてからでないと文章は書けません。
 頭の中に文章が生まれて、そこで初めて書くという行為ができます。
 思考が先にあり、筆記は後なのです。

 いくらタイピングの速度に自信があっても、文章を考えるスピードがそれに伴っていなければ、たくさん文章を書くことはできないのです。

考える時間を削減するために

 タイピングの速度を上げるだけでは一日に書ける量は増やせません。
 文章を考えるスピードも必要です。

 では、いかに考える時間を減らすのか?

 それには考えるべきことをリストアップしておくのがオススメです。
 すなわち「このアイデアさえ固まっていれば文章を書き始められる」という要素に絞ってアイデアを出していく作戦です。

 具体例を出した方がわかりやすそうなので、出します。
 私は先ほど紹介した小説を書くためにA4サイズの紙1枚分のプロットを用意しました。

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 このテンプレートは、1枚に情報がおさまるように作っています。
 私はこれだけのアイデアがあれば短編をすらすらと書けます。

 どのようにすらすらなのかと言えば「書いている途中でアイデアを改めて考える時間を必要とせずに書ける」ということです。

 これが今のところの必要最小限です。
 紙1枚で出せる量というのが私なりに心がけたところです。
 これ以上のアイデアは質を高めるのに役立ちますが、文章量を出すのには必要ありません。
 一日に書ける量のことだけ考えた場合、むしろアイデアを練る時間を長く取りすぎることになってしまいます。

 書いている途中にアイデアを確認しやすい意味でも、紙1枚の分量というのを私は大切にしました。

私が物語を書くのに最低限必要なアイデア

 上の画像をよく見るのはだるい人もいると思うので、あの1枚に入れている要素について、いくつか紹介しておきます。

 まず重要なのがコンセプト欄。短いあらすじと言ってもいいですね。
 その物語がどんなお話なのかを書く欄で、この欄にいかにも面白そうなあらすじが書けたら大成功です。
 そしてこの欄に書いた面白味を強調するように物語を組み立てていくので、アイデアを練る段階でも文章を書く段階でも思考の中軸にしています。

 このように思考の軸になるものを最初に決めると後が楽です。
 大事なのは自分で決めた軸に寄りかかることです。
 せっかく軸を決めたのにその軸を無視してしまうと結局アイデアを練るのに時間がかかっちゃいます。損ですね。

 次に大切に思っているのが対立欄です。
 物語では対立を用意するのが定番で「主人公には達成したい目標があるけど、それを邪魔するなにかがある」という構図です。

 好きな人がいるけど恋を叶えられない事情がある。
 スポーツで活躍したいけど怪我をしてしまう。
 事件の真相を追うけど捜査を妨害する勢力がいる。
 さらわれた恋人を助けようとするけど腕に覚えのある強い敵が待ち受けている。

 そんなふうに「目標や夢が簡単に実現できない事情」や「対決する二者」を設定するのです。
 ここを設定してしまえば物語の展開は自ずと決まります。
 対立が存在する物語では、その対立を中心に描くのが最も自然な進行だからです。

 そして対立に関係して、登場人物も二人設定するようにしています。
 対の関係となる二人を用意すればその二人に会話などのやり取りをさせるだけで物語を進められます。
 たとえ対立のない物語でも目立って活躍する人物を二人用意すれば話を非常に転がしやすくなりますよ。

 おまけに、めちゃくちゃ役立つわけではありませんが、比喩のテーマを決めておくのも有効です。
 作品全体で一貫性のある比喩が登場する作品ってたまに見かけると思うんですね。ずっと海に関する話で比喩をしているとか。
 そういうアイデアを用意しておくのもとても便利です。

 なぜなら一貫性は思考の節約になるからです。
 無限の選択肢から選ぶよりも、限られた少ない選択肢から選ぶ方が楽ということです。

 コンセプトを決めて、その軸に寄りかかるというのも選択肢を減らす意図があります。

「これを決めれば選択肢が狭まる」
 そういうものに目をつけていくと、考える時間を短縮できますよ。

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