点字に携わることがしたくなった
ここ最近再び点字に携わることがしたいと本格的に考えるようになった。
私は学生の頃から将来は点字に携わる仕事がしたいと思っていた。視覚障碍者が使える唯一の文字である点字を生かして、自分と同じ障碍を持つ人たちの役に立ちたかったからだ。
だから盲学校を卒業してからは、点字印刷の仕事をしている作業所に入った。
その作業所に入って2年目ぐらいから、市の広報などの触読校正(しょくどくこうせい)の仕事を任されるようになった。
触読校正とは、点字印刷に入る前の原稿を読みながら、点字や升開けに間違いがないかチェックする仕事だ。
そんな重要な仕事を任せてもらえたことは、その責任の重みやたいへんさよりも、嬉しさややりがいの方が大きかった。
学生の頃から点字に携わる仕事をしたいと思っていた私に取って、触読校正の仕事はまさに天職だった。自分にはもうこの仕事しかない!一生この仕事を続けていくんだと本気で考えていた。
しかしそんな天職を、私はわずか4年でやめた。施設庁からパワハラを受けるようになったからだ。
天職だと思っていた仕事を自ら手放したのは、とても辛かったし悔しかった。
それからはここnoteでも何度か書いているように、いくつかの作業所を転々としたけれど、どこも長くは続かなかった。
その最中にも、仕事じゃなくてもいいから、何らかの形で点字と関われないだろうかと考えていた。しかしそのような機会はなかなかなかった。
そんな生活を数年続けているうちに、心身の体調を崩すようになり、気がつくと家にひきこもっていた。
それでもひきこもるようになってから数か月、縁あって群馬に住むことになったのだが、様々な事情で結局10か月で地元に戻ってきてしまった。
その後こちらも縁あって第1詩集を出版させてもらったことで、もう一つの夢でもあった物書きとして生きていこうと決意した。
そんな中詩集を出版した同じ年に、ふとまた点字の仕事に復帰してみようと思い立った。
そこでいろいろと調べたり話を聞いたりしていると、点字の表記など、点字に関する様々なことが変わっていることを知った。再び点字の仕事をするためには、情報を1からアップデートし直さなければならない現実にショックを受けた。触読校正の仕事をしていた時の感覚が戻ってきさえすれば、またいつでも復帰できるだろうと軽く考えていたのだ。
点字の仕事から離れた時間が長いほど、新しいことを覚えられるのか、その頃の私には自信が持てなかった。
それに自分よりも若い世代の人たちが点字の仕事を始めたという話もちょくちょく聞くようになった。自分のような1度その仕事から退いた人間が、わざわざ復帰してやるよりも、飲み込みが早い次世代の人たちに自分の果たせなかった夢を託すのも悪くないだろう。
そう自分の中で折り合いをつけて、点字に携わりたいという夢を諦めることにしたのだった。
あれからさらに月日は流れて現在。
ここ最近ようやく生活環境や心に少し余裕ができてきたり、心境の変化もあったりして、自分のこれからについてゆっくり考えるようになった。
そこで物書きの他にも何か仕事をしたいと考えた時、9年前までやっていた触読校正の仕事以外にしっくりくる物がないことに気づいた。
やはり私には点字しかないようだ。それならばまた点字に携わることをやってみたいと思うようになったのだ。
今の目標は、5年以内に点字技能士の資格を取ることだ。この4月で35歳になる。35歳から勉強を始めたとして、そこから5年なら40歳だから丁度切が良いだろう。
9年のブランクがあるし、想像以上に難しい試験だと聞くので、そんなに甘くはないだろうということも分かっている。もちろん不安な気持ちもある。正直これを書いている今この瞬間も、自分に点字技能士の資格なんて荷が重すぎるのではと気持ちが揺らいでいるというか、挑戦することにより今後待ち受けるであろう困難にビビりまくっている。
それでも点字に携わることがしたいという夢を諦めきれなかったみたいなのでやるしかないだろう。
新たな目標に向かって、これからゆっくりと少しづつできることから始めてみるつもりだ。
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