中高一貫ハンドボール④高校生
最近、寝相が悪い子どもに頭突きされ、蹴飛ばされて目が覚めます。
親父にもぶたれたことないのに!
失敗する権利
中学時代から放任主義なので、高校生になって今更指導を変えることもできないし、長い付き合いの中で、選手たちの方が僕のやりたいこと、僕の扱い方、僕のあしらい方を理解してくるので、指導は必要なくなってきます。
指導すらしない指導。これこそが、名人の指導である。
冗談です。
キャプテンが提案してくる課題に対して、こんなメニューがあるよと提案して、試合でチェックします。自分たちでは気付かない課題を取り上げます。実験と検証、試行錯誤です。
高校生は筋力トレーニングのチェックを重点的に行います。科学的な根拠を示せば、ちゃんとトレーニングに向き合ってくれる選手がほとんどです。勉強時間を確保しなければならないので、トレーニング時間はぜんぜん足りませんが、まあ人生そんなもんです。
ハンドボールの話は全体で共有、人生訓的な内容は個別で、というのが大人になりつつある彼らへの接し方の基本でしょうか。
目標が達成できるかどうかは分かりませんが、中高生には失敗する権利があります。試行錯誤やタイムマネジメントの経験を積んで、これから数十年の人生のための実験をしてくれたらそれでいいと思います。
「僕たちの失敗する権利を奪わないでください」というのは選手が親に対して発した言葉です。転ばぬ先の杖、はいらないという心意気は素晴らしいです。(本人は親に割と甘えていますが…)
指導者とのギャップ
たいていの場合、学年が上がれば上がるほど意識は攻撃偏重になっていきます。
僕は攻撃も守備もハンドボールの面白さを味わう上では大切だと思うのですが、個々人の性格や中学時代は攻撃の仕組みを重視して練習しているということに起因すると思うので、選手の責任ばかりではありません。
しかし、全国大会出場を目指す上で、守備の課題は避けて通れません。
「攻撃が勝利をもたらし、守備がタイトルをもたらす」by ヨーロッパのかっこいいサッカーの監督
選手の意識と僕の指導にギャップがあるわけですが、ここは我慢です。
学年が上がるにしたがって、どんどん自我が強くなっていくので、プレースタイルを変えるのは難しくなってきます。のびのび個性を発揮してハンドボールを楽しんだらいいかなと思う一方で、目標達成のためには、選手の実情に合わせて戦い方を矯正しないといけないこともあります。
「ほらみろ、守備しないから痛い目にあっただろ」というタイミングをとにかく探して、そこで「やーい、俺の言うこと聞かへんからやー」と言いたいのをぐっと我慢して、改善案を具体的に、練習方法と合わせて提示します。
改善案を具体的に、練習方法と合わせて提示できないということは、うまくいかないことへの苛立ちをぶつけているのと何ら変わりがないので、諦めるしかありません。(もちろん、僕は仙人ではないのでイライラします。)
世間とのギャップ
僕は偏屈なので、生徒に対していつも妙な疑問を投げかけます。中高生の運動部員は、素直で爽やかで大人に従順であれ、みたいなイメージを押し付ける大人にはなりたくない。
うちの生徒が体育館の入り口に整列して「よろしくお願いします!」と元気よく挨拶していたら、(勝手に生徒がやり始めた習慣です。)
「体育館が返事するんか?」と残酷なことを平気で言います。
体育館の管理人さんにニコッと笑って挨拶した方がいいんちゃう?形だけになってない?使わせてもらうことに感謝するなら帰りに掃除して行動で示そうよ、ともちろん説明しますけど。
これは一例ですが、つまり、何のためにそれをするのか理解・納得しないままに習慣化するのがイヤなのです。
とはいえ、僕は偏屈であると同時に非常に小心者で、世間の慣習をまるっきり無視することはできないですし、最初と矛盾するようですが、にっこり爽やかな笑顔で話ができる中高生は素敵だなと思います。
行動をコントロールすることで内面が整えられるのは間違いないのですが、裏を返せば、形骸化した行動が思想停止状態を生むとも言えるので、僕は過剰に潔癖になっているわけです。生徒にとっては、かなりめんどくさいやつでしょう。
また、高校生には大人と対等に話をすることを推奨しているので、うちの部員には世間的に生意気だと受け取られる言動も多々あります。
パーソナリティの問題で失礼なことも多々ありますが、高校生が教師に向かってそんなことを言うなんて生意気だ、という捉え方をされることもあります。僕は年齢を理由に発言を値踏みするのも、されるのもイヤです。
親しき中にも礼儀あり、というレベルで振る舞えたら十分だと思っています。大事なのは何を考えていて、何を言うか、何をするか。マニュアル通りにしか喋れない「コンビニ人間」を量産しても仕方ないのです。
(※人材育成がテーマの小説ではありません。)
この世間とのギャップについては、ケースバイケースになっている部分もあって、指導の原理原則を作れていません。僕自身も混乱しています。十分に考えが深められていないと感じているテーマなのでこれから納得いく指導方針を模索していきます。
安井直人
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