【文法】活用って大事だよ
もしオンライン授業をやるとしたら、こんな感じの文法授業が一番やりやすいのかなあと思って考えてみました。反転授業みたいな??
こないだ読んだ清水由美『すばらしき日本語』を参考にしながら、古典文法学習の導入案を考えました。日本語教育は、授業ネタの宝庫です。
以下、オンライン授業の動画のイメージで。
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チャンチャン。
毎度おなじみのお笑いです…
学校にて。
先生を探して生徒Aが職員室にやってきました。
職員室から出てきた生徒Bに尋ねて、
生徒A「○○先生いる?」
それに対して、
生徒B「…いらない」
このやり取りの面白さを日本語が母語ではない日本語学習者に説明できますか??
居る→ワ行上一段活用の動詞
要る→ア行五段活用の動詞
それぞれに打ち消しの助動詞「ない」をつけると…
居る→居ない
要る→要らない
(活用が曖昧な人は中1の口語文法テキストのまとめを見て確認してね)
○○先生が居るか?に対して「居ない」と答えるべきところで、「要らない」と回答して嫌味を言っちゃう言葉遊びとなっています。
活用なんてまどろっこしいことを考えなくても意味は理解できるし、この小噺で笑えるわけですが(安井はスベっているという指摘は無視です)、活用の種類の違いという文法事項を知ることで、言葉をいつもとちょっと違う角度から眺める新鮮な経験ができます。
なんだよ、口語文法の勉強なんてもうやったし、めんどくさいし、と思っているそこのあなた。画面の前であくびしてるあなた。
古典となってくると一筋縄ではいかない場合もあるのです。ちゃんとトレーニングしましょう。
ことわざを例に挙げてみます。
①寄らば大樹の陰
②三人寄れば文殊の知恵
太字の部分の違いを説明できますか??
「寄る」はラ行四段活用(現代語では五段活用
の動詞)ですね。
①は、未然形+ば=順接の仮定条件
②は、已然形(仮定形)+ば=順接の確定条件
となっているのです。
(古典文法テキスト接続助詞「ば」のところを開いてみましょう。)
①もし頼りにするんだったら…という仮定
②三人が集まるといつも…という恒常条件
を表しています。
接続する語の活用形によって意味を見分けます。
この使い分けは室町時代ごろに曖昧になってきて、現代語では、古典語の名残があることわざなどを除いて、どちらも「仮定形(已然形)+ば」で表現するようになっていきました。
日常会話では、①のような「寄らば」という言い方はあまりしませんよね。
古典文法を勉強することで、今は失われてしまった法則を辿っていく…言葉のインディ・ジョーンズになった気分じゃありませんか??
ちなみに、漢文の訓読法は江戸時代になって固まったので、訓読文では「已然形+ば」で仮定条件も確定条件も表します。
仮定の句法が使われていなくて接続助詞「ば」が送り仮名に出てきた場合は、文脈に注意して訳さなければなりません。
というわけで、文法の勉強は大切なんです。
今日は動詞の活用を例に挙げましたが、古典文法を学ぶことで、自力で古典を読む力を身につけましょう。
では、知識定着です。今日はテキスト○○ページを読んで、以下の問題に取り組んでください…
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あかん、こんなクオリティじゃYouTuberにはなられへん。教授法の勉強もしなあかんし、動画でのプレゼンスキルも学ばないと。
でも、授業のスタートは出囃子がいいなあということだけ決まった。
安井直人