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仕事つくる#34 20代後半からは行動力よりも実行力が大事という話

僕自身も、僕のまわりの仲間を見ていても20代後半は仕事において勝負の年代のように感じます。好奇心旺盛な人間の20代前半というものは、あらゆる物事に手を出し顔を出しして動き回るもので、その結果自分はどんなことであれば力を発揮できるかということにぼんやり気づいていくものです。

僕自身も当時は動き回りました。ネットワークビジネスの誘いに乗りワクワクしながら幹部に会いにいったり(これは早々にダメと判断して撤退)、外資系保険会社のスカウトを受けて大変学び深い話だけたっぷり聞いて、断ったり。地方に目が向いたときは岐阜県の地域おこし協力隊で活躍している方にわざわざ会いにも行きました。会社が休みの土曜日はビジネス勉強会の朝活に毎週参加していました。そういった所属会社以外の動きを誰かと共有したくてたまらなかった時期がありました。なぜ共有したかったかといえば「行動力あるね」と言われることに高揚していたからです。

しかし、今僕が過去の自分のような若者に遭遇したとして、当時の大人たちと同じように「行動力あるね」というかもしれませんが、それは決して褒めているわけではないことに気がつきました。32歳になって思うことは、確かにいろんなことに興味を持って動き回ることは大事だけれど、それよりも勝負することを一つ決めて実績をつくることの方がよっぽど意味があるということです。ここでいう実績とは、学生さんからよく聞く「バックパックで世界一周行ってきた」や、「インターンで有名などこそれに1年間修行に行ってきた」ということではないです。そうではなくその行動から何を学んで、行動して、どんな結果を得たかが大事だと考えています。たとえば「インターン先のSNS運用を、離れた今でも副業で任されている」というようなことです。

大きさは関係ありません。僕が独立思考なためにどうしても上記のような例をあげてしまいますが、勤め先で結果を残すことも立派な実績だと思っています。前者と後者で違うことは一つで、それは相手の評価を勝ちとっているかどうかです。先に書いた「行った、やった」ということは相手の評価無しでもできてしまうものですが、後述した方は顧客(勤め先の業務含め)という相手がいてそこから評価を勝ちとらない限り成立しません。この「成立させる」ということに20代後半からは力むことが大切だと考えます。

僕はそれを実行力と呼んでいます。年を重ねるにつれて行動力よりも実行力が試されます。むしろ30歳をこえてもあちこちに手を出しては辞めを繰り返している人はだんだんと信用を失っていく印象を持っています。そのような同世代も決して少なくないです。そういう人たちはやたらと言葉に振り回されている印象を持っていて、それに気づいて以降は、就任・起業・立上げ・設立のような見栄えのいい発表言葉を使うこと自体が目的にならないよう心がけるようになりました。大事なのはその先で何を成立させるかだからです。

ターニングポイントを20代後半としているのにはちゃんと理由があります。一つは社会に出て3~5年が経った若者を歴戦の大人が「こいつはできるやつかどうか」を吟味し始める時期だということ。実績を積むことから逃げなかった大人たちからすれば、若者の浮ついた言葉というのはすぐにわかるものです。私も成功すらしていませんが事業を成立されることから逃げなかったという自負はありまして、その経験から「どうやらこの人は言葉を発すること自体に満足しているな」ということを敏感に感じ取ってしまいます。

逆も然りで、月3万円のようなどんなに小さな商売でも成立まで持っていっている若者には心底興味が湧きマジマジと話を聞いてしまいます。綺麗に成立しているビジネスモデルほどそこに至るまでの泥臭い積み上げが必ずあるものですが、その話題に対する僕の興味関心態度は常に10点満点です。

もう一つの理由は、一般的に、家庭を持つ前の最後の年代であるということです。これはあくまでも持論ですが、一勝負する前に家庭を持った男性は背負うものの重圧を感じてリスクのある勝負が一生できなくなります。勤め先で功を上げていく場合はまだしも、本業でも副業でも自分でビジネスを立ち上げる場合はじめに赤字を掘ることから始まります。赤字とは何も金銭的なことだけでなく労働力や精神力もそこに入ります。家庭を持つ前に一勝負仕掛けて頭のネジを外しておくことは非常に重要だと大真面目に考えています。一度外れてしまえばその後も戻りませんので。

次に、物事を成立させるところまで持っていくために必要な準備について書きます。一言で言ってしまえば、いかに濃いエネルギーを注ぎこめるかが鍵です。部活や受験、ゲームや恋愛など、人生のどこかでそのことばかりを考えて熱中していたことが誰しもにあると思いますが、その時と同じくらい没頭できなければ凡人が実績を残すことはできないと考えます。

また、人にはそれぞれ熱中できる期限があるので、ビジネスであればその期限内にある程度自走するところまで持っていかなければなりません。成立させる前に飽きてしまったら最後、見切りをつけない限り赤字を垂れ流す負債マシンを所有し続けることになります。僕が事業譲渡により譲り受けた事業はまさにそのパターンで、成立する前に事業主の熱中期限が切れたまま運営だけされていた状態でした(それが分かっていたから譲渡で精算されたとも言える)。小さいビジネスほど事業主の熱量が鍵であり現地のサラリーマンの尻をいくら叩いたとて一向に立ち直るものではありません。ちなみに僕の熱中期限は概ね3年であり、スタートする全ての事業を3年以内に成立させるように強く意識しています。これは商売人の大先輩から教わった大事な考え方なのでぜひ採用してみてください。

濃いエネルギーを生み出すためには期限を決めることともう一つ、堂々と取り組める状態をつくることをお勧めします。例えば、副業を始めるときは勤め先に「本業に支障が出ない中でやらせてもらいます」という断りを入れてから始めることで心理的ブレーキはかかりません。自分にそういった野心が少しでもあるとわかっているなら、副業に寛容な会社を選ぶところから始めた方がいいです。また、お世話になった人の意向に背く形になるのであれば、これにも必ず断りを入れてから始められた方が後々いいと思います。別にそんなの関係ないよという人もたくさんいると思いますが、自分のような小心者ほど申し訳無さでエネルギーが減退してしまうので、スタートする前にいかに堂々と取り組める環境を用意できるかも非常に重要なことと捉えています。

どんなに苦しくても決めたことをやり切ることで着実に実行力が備わってきます。もし、成立まで持っていけなかったとしても次の挑戦では結果にこだわって試行錯誤したその経験が必ず役に立つものです。どんどん感覚が鋭くなっていくイメージです。今日は「20代後半からは行動力よりも実行力が試される」というテーマで文章を書いてみましたが、今年で33歳になってしまう自分を引き締めるためのものでもあります。好奇心旺盛な自分は、先輩たちから多動症と呼ばれるくらい毎日のようにやりたいことが湧き出てきてしまう病気持ちです。そんな自分こそ、今メインで取り組んでいる2つの事業にエネルギーを集中させて次のステージに行かねばなりません。いつまでも同じところでうろうろしていたくはないので、初心に戻って実行力を磨いていきます。

最後に、こういう話をした時に必ず聞かれる「熱中するものをどうやってみつけたらいいのか」という問いに対して「たくさん動いてたくさん経験するしかないですかね。」という本末転倒な回答を添えて締めくくりたいと思います。

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