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〈15年目の相棒〉 その作り手を訪ねる「常滑焼 オープン急須(黒)」

写真は私物の急須〈15年目の相棒〉を撮影したもの。

15年前、プライベートの九州旅行で立ち寄ったお茶屋さんで一目惚れした急須を(お財布にもやさしい価格だったので即決!)、いまだ自宅で使ってます。

「急須で淹れるお茶」をお届けする立場になったいま、私自身が使い続けていて「素晴らしい!」と思う急須をご紹介します。


〈作り手について〉

作り手の方にお会いするため、愛知県・常滑市にある窯元を訪ね(実際には押しかけ)ました。

陶号「二代目 玉光」 梅原康隆氏
・昭和21年 常滑の窯元に生まれ、初代玉光のもとで修行
常滑焼の伝統工芸士として、2020年に勲章を受賞

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60年目の現役です
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数々の表彰を受けています
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この類の賞状は人生で初めて拝見しました

なんと、私が長年愛用している急須を16年前に世に送り出した方は、正真正銘の名工でした!

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真夏の暑い時期でしたが
一緒に現場に入らせていただき、ご説明いただきました

〈商品について〉

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 東屋さんの茶海(私物)とも
相性抜群の〈相棒〉です

本商品は、シャープな印象をもつ「黒」でありながら、常滑焼ならではの落ち着きのある質感をもっています。

そして、本体だけでなく、注ぎ口・開口部・柄の各部分の丸みが強調されたやや小さめの形状は、他の食器類との相性を選びません。

食器類との相性は地味に大事なポイントです。

というのも、この急須は緑茶以外に紅茶や烏龍茶にも多用できるため、和洋いずれの食器と合わせても違和感のない色味は使い勝手が良いのです。

また、急須にとって継続使用による茶渋は大敵です。

しかし「黒」の場合には、それが目立つことなく、むしろ経年による色味の変化を楽しむことができます。

まさに、常滑焼が「使えば使うほどに価値が上がる」と言われる所以です。

今回は梅原氏より商品開発にまつわる貴重なお話を伺いました。

まずは、最大の特徴である「蓋なし」という形状について。

この商品は「蓋のある急須」から「蓋」を取る、という考えからは作られていません。

オープン急須の開発は16年前、「お茶を淹れるには①茶葉、②お湯、③茶葉とお湯を入れる器(うつわ)三要素だけで事足りるのではないか?」という梅原氏の素朴な疑問からスタートしました。

つまり、従来の急須の形から「蓋」を引き算するのではなく、お茶を「美味しく」「便利に」淹れるために、「器」に備えるべき最少機能をゼロベースで積み上げていく、という商品づくりです。

最小機能を目指したシンプルなつくりだからこそ、長年愛用していても飽きがこないのだと納得しました。

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原型は「急須」(奥)ではなく
「湯冷まし」(手前)にあると説明いただく
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たしかに注ぎ口は「湯冷まし」に近く
垂れにくい作りです

現在では多くの類似品が販売されている梅原氏の「オープン急須」は、新しい分野を開拓した商品として業界でも評価されています。

しかし発売当初は、「お茶の香りが逃げる」「蒸らすことができない」「ほこりが入る」など、根拠のない批判を浴びることも多かったそうです。

「他人がやってないことをやるためには、そんな意見も受け入れること」と、梅原氏は当時の状況を明るく振り返りながら、当初は予測していなかったお客様からの声もあったと言います。

「洗い物や片付けがとてもしやすくなった」
「蓋が欠けると困っていたが、その心配がなくなった」
「急須の中で茶葉がひらく様子が見られ、その香りも楽しめる」
「手が不自由になって蓋を閉めることができなかったので、ありがたい」

そう、オープン急須は茶殻が捨てやすく、片付けが非常に楽なのです。
我が家でも、サッと水洗いして、そのまま乾かすだけの管理です。

保管についても、蓋付きのティーポットや急須は目線よりも高いところに置きにくいと思いますが、こちらは食器棚の場所を選びません。

少し長くなってしまいましたが、いずれにしても私の〈15年目の相棒〉は、「名工による新しい発想」から生まれた「オープン急須の起源」と呼ぶに相応しい商品でした。

〈モノづくりについて〉

東京繁田園では"良品を適価でお届けすること"を大事にしたい、と考えています。

そして、この「常滑焼 オープン急須(黒)」は、機能性とデザイン性、本物の職人によって生み出される質感といった価値と、お客様へお届けする際の価格のバランスに優れた商品です。

手作りの急須はもちろん素晴らしいのですが、全工程を職人ひとりで作っていては、この価格ではお届けできません。

だからといって、人件費の安い海外で大量生産すれば良い、というものでもありません。

以下では、梅原氏の新しい発想によって生まれたオープン急須について、その手作りの良さを残したまま、お客さまにとって手に取りやすい価格を実現する、そんな〈モノづくり〉の現場をお伝えします。

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まず、梅原氏が作った急須の原型となる型に対し、手作業で泥漿(ノタ)と呼ばれる土を主原料とした素材を流し込みます。(写真:上)

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ここで時間をおき、この型をひっくり返して余分な泥漿(ノタ)を流し、型に残った急須の原型となるものに対して、一つひとつ手仕事を加えていきます。(写真:上)以下、気の抜けない細かな作業が続きます。

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下の写真は急須の柄(取っ手)をつける作業です。
乾燥の前段階なので、まだまだ柔らかい粘土の状態です。

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「普通の人は柔らかくて持つことさえできない」
「赤ちゃんと接するように、優しく包み込むように丁寧に取り扱うんだよ」
「目をつぶって柄をつける感覚が大事(目に頼るとかえって間違う)」

作業を進めながら教えていただきました。

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複雑な手作業を支える大切な道具類
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窯の温度は
1000度~1100℃前後

手作業で形づくられた急須は、窯の中で高温で焼かれることで、強く、固く焼き締められます。

約50℃の温度差でも、焼き上がりが全く異なってしまうため、この温度管理にも細心の注意が必要です。

この工程には、焼き締めること以外にも重要なポイントがあります。

それは、最終的な商品の黒色を生み出す「二度焼き」
年月を経て深みを増す「黒色」は、塗料や原料の色素によるものではなく、この工程によって自然に生まれるものなのです。

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二度焼きは、直近20~30年で生まれた新しい技術です

手作業による急須の整形作業に加えて、窯で焼く工程にも時間と手間を重ねること(まさに二度焼き=二度手間ですね)で、「常滑焼 オープン急須(黒)」は完成します。

急須4X3_調整済み

〈販売ページのご案内〉

急須単品の販売ページはこちら。
現地との直接取引により、適正価格を実現しています。

急須と当店の3種類の茶葉のセットはこちら。

もう少し本格的に煎茶を楽しみたい方には、湯冷ましや湯呑みもセットになった「テーブル煎茶道セット」がおすすめです。

陶器の世界に興味を持って頂けた方には、梅原氏による手作りの平急須もご用意しています。いずれも、在庫1点限り。うっとりするほど美しい、芸術品のような急須たち。ビビッと来たら、ぜひこの機会にお迎えください。


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