2023年秋のグループ展
はじめに
私は、とある漆芸グループに所属していまして、
その会では年に一度、会津若松市内で展示販売会を行っています。
9月下旬に毎年行われている、その展示販売会は今年で11回目を数えました。
私は、昨年メンバーに加わったばかりなので、今年の出展は2回目となります。
もう一ヶ月経ってしまいましたが、ここで改めて振り返っていきたいと思います。
去年はさっぱり…
普段の業務は、自分の漆器工房にて問屋から受注された漆器を作ってはそれを納める、というルーティンなのですが、展示会は直接来場者に自分の作品を見てもらう大変有意義な機会です。
問屋さんに収めた商品は、どんなお客様が買われていったのかわからないですし。
お客様はどういった作品に足を止めるのか?
自分の作品は果たして受け入れられるのか?
それを目の当たりにできるのが展示会のメリットです。
昨年は、第10回目となる節目の回でした。
私は、それまで仕事の合間にコツコツと作っていた作品を並べてみました。
箸、7寸丸皿、5寸丸皿、かんざし、スプーン、諸々
結果から言うと、ほとんど売れませんでした。
箸が2~3膳売れただけです。
(しかも、ほぼ身内みたいな方々に…)
まあ、売れなかった要因はわかります。
おそらく価格が高すぎたのが一因です。
別の記事でも触れていますが、値段をつけるのは本当に難しいです。
ただ、昨年に関して言えば、高いのを承知の上で付けた価格ではあります。
私自身初めての展示会だったので、できるだけ多くの方に作品を見て欲しい、という気持ちがとても強かったです。
意気込みとしては「販売会」というよりも「美術展」に近かったです。
値段を安くし過ぎて、初日に売り切れるようなことがあっては、会期後半に訪れた方に見せられなくなる。
(昨年の会期は5日間でした)
まして、どこぞの問屋に買い占められて、転売などされてしまっては最悪です…。
私は、今回「この人に作品を見て欲しい」という強い思いがありました。
私は、父の仕事を手伝う形で漆器作りの世界に入りましたが、
問屋に注文された品物を黙々と「作らされて」いる間は何ら魅力を感じませんでした。
しかし、ある方に出会ったことにより、
「この人に評価されたい」
という気持ちが原動力になってものづくりに励めるようになったのです。
グループ展に誘われたときも、この人の目に留まるチャンスがあるかも、と思ったから二つ返事でOKしたのです。
そして、この方は4日目に来てくださいました。
(とりあえず目的達成!)
今年の結果は…
そして、2年目。
1年の創作期間でいくつかの作品を手掛け、それを出展しました。
感じたのは、1年間といっても通常の工房業務や日々の生活の中で、なかなかものづくりには専念できない、ということ。
会津展や県展に出す作品作りも別途時間が必要ですし、いやぁ作家さんって大変ですね…。
今回の出品は、
丸皿数種類、丸板プレート、角皿、コースター、箸、かんざし。
星、天体をテーマにした作品を多く作りました。
昨年も星がテーマでしたが、実際の星空をトレースしてよりリアルな作品に仕上げました。
また、昨年は価格が高すぎた点を考慮し、値段を下げてみました。
すると、今回、
ほとんどの作品が売れていきました!
まず、開始早々、会津桐コースターが5枚売れました。
そして、ぐい吞みが売れ、丸板プレートが売れ…。
値段を下げた、といってもそんな叩き売りのような価格にはしてません(当社比)。
でも、
「ぐい吞み、この値段は安すぎますよ」
「これ本当に漆塗りですか?」
と言われる始末。
そうか、安くし過ぎると漆塗りかどうかを疑われる事態になるんだなぁ…
良くない良くない…。
確かに、去年出した作品よりはクオリティ上げましたよ。
うーん、そっかー、もう少し値段上げてもいいのかー
いやぁ、本当に「価格設定は難しい」(2回目)
今後はどうする?
某漆器問屋の社長さんが見に来られていて、ぐい吞みを評価してくださいました。
「他にないの?」
と聞かれたのですが、4つしか作ってないのでその旨を伝えると、
「木地があったら工賃いくらで作ってくれるか?」と。
このぐい吞み、3000円で販売したのですが、
木地代は350円だったので、塗の工賃は2650円となります。
「じゃあ、工賃は1個2650円で!」
と言ったら問屋さんは多分OKしないでしょう。
ウチの工房でぐい吞みの塗りだったら、700円~1000円くらいで受注しています。
3000円で販売したぐい吞みは
「これは安すぎます」と他のメンバーに言われました。
4000円か5000円でも良かったのでしょうか?
この問屋さんとは取引ありますし、この場は適当にお茶を濁したのですが、
正直、問屋からの注文で作るのはお断りしたいなぁ…。
今回、星座をテーマにした作品がとても高評価でした。
それまでは自分の独りよがり、かなと思っていたところでしたが、
好きなものを作って、それが売れるってベストな状態ですよね!
今回のグループ展、とても自信になりました。
今後の励みになりました。
できれば、今後も御客さんと直で売買できる展示会、
続けていきたいです(問屋を介さずに、ね)。
余談。
そうそう、「かんざし」は去年も今年も全く売れませんでした。
多分、売る場所が悪い。
というか、客層とマッチしていない。
別の会場だったら結果は違ったのかも知れない(京都とかだったら、もしかして?)
来年は、もう「かんざし」出しません(笑)。