紙の本が、私は好き
古本屋と書店をはしごして、本を買った。
以前のnoteで私も取り上げた、文庫版「百年の孤独」の出版反響はすごいらしい。
発売日の前からAmazonランキング1位を獲得。発売翌日には重版が決定したという。
思わず奥付の出版年月日を確認した。
どれほどの人が、この本を手にしたのか。
書店で真新しい文庫本を手にして、同じようにいまこの本を手に取っている日本中の人たちへしばしの間、想いを馳せた。
本を抱えてほくほくと書店を徘徊していると、2人の店員さんが棚の前で熱心に話をしていた。
どうやら、本の配置について検討しているよう。
現行の配置だと見せ方が不十分と感じているようで、棚の中段と下段を丸っと入れ替えたいという話。
「時間かかりますよね」
「でもなるはやでやった方がいいと思います」
「私退勤時間迫ってるので、このあとのシフト伸ばせるか確認してきます」
1人はシフト確認に走り、1人はならびの配置の入念なチェックを続けていた。
素人の私にはわからないけど、それは退勤を遅らせてまでやるべきことだったのだ。
一冊の本を、届けるべき人に届けるための、書店員さんのプライドを感じた。
電子書籍が右肩上がりに伸びているこの時代で、紙の本を作り、届けようとする人がいる。
「後世に残すために、文庫化に踏み切った」と語る「百年の孤独」出版担当者。
本の配置を真剣に考え、常により良い形で本を届けようとする書店員。
そんな人たちがいるから、今日も形ある本を手に取る人がいる。
そして古本となり、古書となり、ときに何人もの人の手を渡り歩いて、私のもとにやってきた本がある。
だから人は、本棚に並ぶ本を愛でることができる。
形ある紙の本だけがもつ魔力はきっとある。
この世界に送り出されたそのときから、一冊一冊のバックグランドをもって、この世界を渡り歩くのだから。
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