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終の棲家(スミカ)

一生涯の戦い終えて日が暮れて、行きつく先は花園の天国か、
拷問待ち受ける地獄なのか。

介護福祉士として7年勤務した経験から、将来、介護状態になったら
どのような場所でどう暮らしたいのかの一考にしていただければ。

私が働いたのは有料老人ホームと特別養護老人ホーム。

このなかでは特老勤務が印象深い。もっとも介護度が重く、話せない、
口から食べ物を取れない、身動きができない方が多い。
身体機能が大きく損なわれている。
もちろん中には、歩くことも話すことも支障ない方々もおられるが。

健康なら長寿も喜ばしい。100歳越えても尚元気な方がいる一方で
60歳前後で介護施設に入所される方も。親子セットでの入所もある。
還暦すぎたら暦年齢より見た目年齢が寿命を決める。

人は年齢を重ねれば重ねるほど生きることが大変になっていく。
皆、自宅で最後まで暮らしたいのに、多くの方が制約の多い
集団生活をしなければならないのが実態だ。

私の7年間の勤務を通して、誰一人施設でくらしたい方はいなかった。
家族の負担を思えばこそのあきらめ。
まだ歩ける認知症の方の多くが何度も脱走を試みる。
又は杖を振りまわして大暴れする。
新しい環境に順応するまでは時間がかかる。

介護業界で働く人の背景も様々。介護の専門学校からストレートに
職に就いた者、大卒で幹部を目指す者、定年退職後にパート勤務につく者、
国家資格の介護福祉士を始めケアマネージャー、その他の資格取得に励んで
専門性を高めていく者など。

AI導入後もリストラされない分野は医療と介護というが、
特老以外の介護職の低収入と過酷なシフトが改善されないかぎり
人手不足は解消されない。
そういった介護職の大変な勤務状況があるとはいえ、
入居者への虐待はあってはならないのは当然のこと。

施設での生活が良くなるのも辛くなるのも担当の介護士次第だ。
上司はめったなことでは回ってこないから。
次回は体験してきた虐待ケースを紹介したい。
しかし施設よりも家庭での虐待の方がずっと多いことは事実。
この現実の中で、私たちはどのように高齢者の尊厳を守り
幸せな最後を迎えてもらうことができるのか考えてみたい。




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