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『劇場版モノノ怪 唐傘』すごくよかったというお話し -劇場リピート確定作品-

 みなさんはアニメ映画をご覧になるだろうか?私はあまり積極的には見ないが、たまにアンテナに引っかかったものだけ劇場に見に行く。大抵、映像に特徴があって自宅のテレビではその良さが味わい尽くせなそうな作品の時である。
 今回、タイトルにある通り、『劇場版モノノ怪 唐傘』を映画館に観に行った。モノノ怪は”2006年にフジテレビで異例の高視聴率を記録した「怪~ayakashi~』の一編「化猫」から派生し、2007年にテレビアニメシリーズとして放送されて以来、根強く愛され続けている作品”(引用:作品情報|『劇場版 モノノ怪』公式サイト (mononoke-movie.com)であり、その劇場版として新作が今回(2024年7月)公開された。
 作品は淡い色合いの和紙の上に線を引いて描かれたような絵、要所要所で切り絵やシルエットによる独特な表現が挟まれること、登場人物の作画が統一されていない、などの独特の特徴があり、何とも言えない趣きがある。ジャパニーズホラーではあるが、人の心、やましさ、みにくさなどを軸としており、直接的な表現があまりないのに、美しくもおどろおどろしい絵からぞっとする恐怖がこみあげてくる作品だ。ただ、結果として怖いのであって、怖さ有りきの作品ではなく、ストーリーも面白く、その世界に知らぬうちに落ちていくリズムの良さがある。
 今回の『劇場版モノノ怪 唐傘』は、それらの良さをしっかりと残しながら、映像の美しさが増していた。具体的には、舞台となる大奥内部の奥行の立体感がすさまじく、そこに置かれている種々の建築装飾は中国を思わせるような極彩色であったかと思えば、純和風の部屋もあったりして、目を楽しませる映像だった。特にエンディングでは薄手の和紙の向こうに更に薄手の和紙が回転している様がとても美しくて目が離せなかった。おそらく会場の全員がそうだったのだろう。完全にエンディングが終わるまで誰一人として席を立つことはなかった。
 なお、私はもともとホラーが苦手で、アニメーションの化け猫、モノノ怪は画面を覆いながら見ていた勢なのだが、『劇場版モノノ怪 唐傘』はアニメ版よりもグロテスクさが抑えられ、見やすかった。
 完全に新しい映像体験をしたい方、シンプルに美しいものが好きな方、別世界に没入したい方に非常にお薦めである。ぜひ、この映像作品は劇場で楽しんでいただきたい。
 かなりの非日常体験だったので、私はあと数回劇場でみようと思っている。


<おまけの雑記1>
 ちなみにエンディングまで見ていたので気づいたのだが、制作陣に中国、韓国系らしき名前や企業名がたくさんあったので、途中の極彩色の装飾はそちらのものも参考にしているのかもしれない。またクラウドファンディング協力者のペンネームも紹介されていて、この映画を楽しみに協力してくれた人々がいるのだなと思った。その人たちはどんな気持ちで劇場公開版をご覧になったのだろうか。応援上映に行ったのだろうか?昔はなかった新しいクリエイティブとの関わりの成果を目の当たりにできたこともよかった。

<おまけの雑記2>
 昔、自主制作の化け猫×椎名林檎のMAD動画がYou tubeに公開されていて、それをきっかけにこの作品を知ったのを思い出す。確か、椎名林檎「ギャンブル」と「いろはにほへと」だった気がする。もう見られないけど・・きっとあのMAD動画を作った人は化け猫も椎名林檎も両方好きだったんだろうなと思う。それほど世界観が素晴らしい組み合わせでした。

<おまけの雑記3 見に行くか迷っている人へ>
 ぜひ観に行きましょう。芸術作品を見に行く、とか、体験しに行く感覚で。作品については予備知識がなくてもOK(というか予備知識があっても登場人物も多くて若干ストーリーを追えない)だと思いました。ただ、もし時間に余裕があるなら、1~2作品ほどみて、①薬売りとはなんなのか(どんな要素がそろうとあやかしを討伐できるのか、討伐するときの姿) ②絵のトーン(とまどわないように) を把握しておくとよいかもしれません。アニメほど怖くはないのでホラー苦手勢もそれほど心配しなくて大丈夫です!チームラボとか好きな人はお気に召す作品だと思います!



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