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実はこういう写真が躊躇なく撮れることこそがデジタル時代の最大の恩恵なのかもしれない【無料記事】

デジタルカメラのGR III、ISO3200、F2.8、1/40秒で撮った夜の紫陽花。
別に紫陽花に光が当たっているわけではなく、たまたま街灯りがあっただけのシーン。
別に特別な写真でもなんでもない。
ただ、夜の街を歩いていたら、「あ〜、紫陽花の季節もそろそろ終わりかあ」と思って、なんの気なしにシャッターを押した写真だ。
そして、撮ったあとに液晶を確認しながら、「うん、OK」と思う。

でも、この被写体を見つけて、躊躇することなく、撮ってみるか!と思い、さらに1カットでOKといえるようになったことこそが、デジタル時代の恩恵なのではないだろうか。




だって、フィルムカメラ時代には気軽に撮れなかったもの。
ISO400のフィルムを詰めていたとしたら、f2.8でシャッタースピードは1/5秒となる計算。まあ手持ちならぶれは覚悟。
しかも、フィルムの場合、当然ながら撮った写真をその場でチェックすることはできない。
だから、露出計を信じつつも、ある程度露出をばらして撮っておく必要がある。そうなると、さらにシャッタースピードが遅くなる可能性もあり。。。。
もっとも、露出をばらしてまで、このシーンをスナップするかは疑問だ。

もちろん、フィルムだって増感するという手はある。
でも、増感というのは基本的にはフィルム1本、丸ごと感度を変えてしまうということだ。
今のデジタルカメラのように、ISO3200で撮ったあとに、すぐさまISO400に変え、さらにその後すぐにISO800に、なんて芸当はできない。
ISOオートなんてあり得ない設定だ。

ということで、こんな夜の紫陽花なんて、露出ばっちり、手ぶれもなし、なんいうのはデジタルだからこそ当たり前なのだ。

フィルムカメラを持っていたときも、もしかしたらこんな紫陽花を見つけて撮ってみたかもしれない。でも、そのときは、1枚なんとなく撮って、「まあ、もしかしたらいい感じに写ってるかもな」くらいに思うだろう。
「よし、こんなの撮った!」とはならなかったはず。

夜の街や被写体を見つけて、パッとカメラを向けて、サッと撮る。
液晶モニターをみて、「OK!」と言えるようになったこと。
これこそがデジタル時代の最大の恩恵と言えるではないかなと思った1枚の写真のお話でした。

塙真一

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