【小説・読むセラピー】あなたが世界を愛する日(1)
「自分は男の子だったら、よかったのに」
5歳の小鳥 優(ことりゆう)はいつも残念に思う。弟が生まれて、両親が弟を大切に扱い始めてからそう感じている。悔しいという気持ちも混じっている。どこか落ち着かない。ここが自分の居場所ではない感じだ。
大好きなカレーを食べているときも、幼稚園の友達とおもちゃで遊んでいるときも、一人で絵本を読んでいるときも、どこか気が晴れない。
ママやパパが弟を褒めるのを見るだけで、ざわざわする。女の子に生まれた自分は、そんなに褒められたことがない。
「男