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#読書

眠れない夜に開く本

【とほん読書ノート014】 『幸福論』で有名なヒルティ(1833-1909)が、眠れない夜の時間を自らの人生を見つめ直すために活用しようではないかと書いた本です。 哲学者であり国際法の大家でもあったヒルティですが、何よりもまず敬虔なキリスト教徒でした。聖書を頻繁に引用し、信仰心に基づいた幸福を追求するための内容ではありますが、自身の経験に裏打ちされた実践的な助言も満ち溢れています。 信仰心があるからこそ本当の幸福を得ることができるというヒルティの言葉は無神論者の私にとっ

読書の処方箋/あなたのお悩み・気分に効く100冊

はじめに緊急事態宣言でにわかに外出さえ憚れる状況になってきました。まさかこんなことに日本がなるとは、ほんの数週間前までは想像することもできませんでした。 人生の大半を本とともに生きてきた元書店員のすずきが、自宅待機中での100の症状別に本を処方させていただきました。その時の悩み、気分に合わせて、用法・用量を正しく守って読書をお楽しみください。 ※なるべく現在(2020年4月時点)書店で購入できる本を扱っておりますが、出版社品切れなど場合はご容赦ください。 もしお楽しみいた

千の顔をもつ英雄/ジョーゼフ・キャンベル

地球規模、地球単位での課題に取り組むことが喫緊のこととして求められる現在、ポストヒューマンあるいは非人間という、これまでとは異なるパラダイムで思考をすることが必要だという話を昨年からこのnoteでは繰り返してきた。 その際、従来の人間中心主義的思考を抜け出すためのきっかけとして、現代においては失われてしまった神話の思考を参照することはとても有意義なことだと、このジョーゼフ・キャンベルの『千の顔をもつ英雄』を読んであらためて思った。 人新世の世における、神話の可能性1940年