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空の花篭、

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ネガティブ日記2019
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#音楽

#いまから推しのアーティスト語らせて(慾深い私は平井堅の世界を丸ごと飲み込み骨の髄まで嫉妬したい)

 人間、時には闇墜ちする時間も必要だ。  だけど、そういうときでも、心にぶれないものを持っていたい。悲しくても悔しくても、どん底まで落ち込んでも、真っ暗闇の中でも、目を開いていられる毅さのようなもの。世の中に臆することのない「私」でありたい。  世間知らずで浅慮であり、肥大化する自意識だけが世界の中心で、自分の妄想と心象風景を綴るだけであったころから、私はそういった言葉に憧れていた。弱さや痛みを否定せず、確かに、身の裡に抱えながらも、それらに全てを投げ出さずにいる。私はいつ

私をみちびくあなたの歌にありがとう

「全部楽しかった。つらいこともたくさんあった気がするけど、それも含めて、ただただ全部が楽しかった」  推しちゃんの一人がそう言っているのを見た。思い出深いライブの一年ぶりのオーディオコメンタリー、のアーカイブ。私もわかるよ、と思った。  散らかした論文に埋もれて大変だったことも、実力が全然追いつかなくて悔しくて泣いていたことも、足繁くあちこちの美術館へ通って貧乏だったことも、地獄の耐久レースか!と思った論文審査も、だけど、全部が楽しかった。できないことすらも全てが楽しかった

私の中の怪物

 幸せな顔した人が憎いのはどう割り切ったらいいんだ  満たされない頭の奥の化け物みたいな劣等感               ー ヨルシカ/だから僕は音楽を辞めた  私はこの曲をカラオケに行ってよく歌うのだけど、「満たされない頭の奥の化け物みたいな劣等感」というところだけ変に力が入ってしまっていつも声が裏返る。力が入るのがわかっているからちょっとフラットに歌おうとすると、ここは二度目のサビの直前で、その後Cメロに入る、歌に勢いが出てくる重要なところなので、力を抜くと肩透かしし

音楽と世界

 昨日、チェロの先生に、突然「けいさんは音に匂いだとか色だとかは感じる人ですか?」と訊かれた。移弦(読んで字のごとく弦を移動して弾く)の練習が終わったあとのことだった。  一瞬虚を突かれ、感じません、と答えた。  共感覚のことだなとはすぐにわかったのだけど、それより何より、私のどちゃくそにへたなチェロを聴いてどうしてそんなことを訊こうと思ったのかが気になった。もしかしたら生徒さん全員に訊いたのかもしれないけど、私の音のどこにそんな気配があるというんだろう。 「音にそういうのを

米津玄師「アイネクライネ」

私は世間のブームから周回遅れで流行りものをすきになる人間なので、いまさら米津玄師「アイネクライネ」にハマってそればかり聴いている。(同じ曲をひたすら聴き続けるというのはストレスサインなのでよい兆候ではないのだけど。) アイネクライネは、歌詞のストーリーとそれを表現する言葉の組み合わせがたまらなく好きだ。  何度誓っても何度祈っても惨憺たる夢を見る  小さな歪みがいつかあなたを呑んでなくしてしまうような  あなたが思えば思うより大げさにあたしは不甲斐ないのに  どうして