2017年を振り返って。

2017年は私の生きてきた中でベスト5に入るくらい大変な年だった。
大きく変わると書いて大変、よく言うけれど。
ほんとそんな感じだったなと思う。

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2016年の春に、思わぬ形で10年以上続けてきた仕事を辞めることになった。
無職だった2016年は、具体的なストレスがなかったので、今思えば全然余裕だった。
可能性は無限のように感じたし、遅咲きながらも今から私は何でも目指せる。
仕事がないということは場所に固執しなくてもいいので、どこにでも住めるし、なんなら貯金を使って数年旅に出てもいい。
ワーホリで海外に行こうかなんて本気で考えたりもした。

気ままにプラプラしつつ、収入もないので、特に目的もなく半年コースでweb系の職業訓練校に行くことにしたのが2016年夏の終わり。
最初は、私はフリーランスになる!と意気込んでいたのに、卒業が近づいて、なんだか流れるままに面接を受けて、web制作会社に就職してしまった。

私の2017年はそこから始まった。

いつも私は流れるままに生きてるんだけど、この判断が全然甘かった。
特に覚悟もないまま再就職をしたのが、苦労の始まりでもあったような気がする。

初めての転職、初めての職種、そして、初めての男社会。
小さな会社で社長は同い年、上司は年下。
今まで女社長の元で、しかも会社設立当初からいたメンバーである私は10年働いてすっかり幹部的なポジションになっていたので、お茶汲みからスタートするのは屈辱でしかなかった。
慣れない仕事で、技術も全然ままならないから、会社の体制や方針に思うところは山ほどあっても立場的に何も言えない(や、言ってたけど笑)。

入社当初、超ブラックな性質の会社で、支配的な物言いをする社長に人格を否定される(と私は感じていた)日々。毎日遅くまで帰れないのに残業代もでない。もちろん有給、ボーナスなし。
センシティブ気味な性格の私をなぜか「かわいそう」と認定した社長は、「はゆちゃんを変えてあげたい!」と意気込み、グイグイ私の領域に踏み込んでくる。
あと、これは多分私の被害妄想もだいぶあるんだけど、結婚もしてない、子供もいない、いい年した女の扱いっていうのが、想像以上に厳しいものだった。
これが社会か、と初めて知った。
今までの自分は、本当に小さな世界で生きてきたんだなと思い知らされた。

職場の非常階段で一人煙草を吸いながら、何やってんだろう私、といつも思っていた。そんな嫌な仕事ならすぐ辞めちゃえばいいのに、と思うのが普通の人の精神状態。でも、その選択肢ができないくらい、私は支配されてしまっていた。DVと同じだな。
本当に精神的に参っていた。

そして。
さらに、2016年の年末に、自身が10年以上続けてきたバンドも休止してしまっていた。メンバーの一人が音信不通になってしまって。

今まで私を形成していた、仕事と音楽、この2つが同時に崩れてしまったところから始まる2017年、生きる楽しみは何もなかった。
正直、本当にもう生きるのをやめようと何度か思った。このまま生きていても楽しいことなんてないような気がしていた。それに、この暗闇がどこまでも続くような気がしていた。

ずっと、私はどこでどう間違ってしまったんだろうと考える日々だった。
辞めるきっかけになった前の職場の社長を恨んだ。
音信不通になったメンバーを恨んだ。
私が今こんな目に遭っているのは彼らのせいだと、現実から目をそらしていた。
そしてひとしきり人を責めたら、今度は自分を責めた。

母に会うたびに、生きるのが辛いとぼやいて心配をかけて、
仕事で辛いことがあるたびに、帰り道で親友に電話して愚痴って、泣いたりもした。
全然楽しそうに生きていない私を、恋人はどんな目で見守ってくれていただろうか。

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2017年も終わりに近づいた11月、1本の映画と出会った。
その映画が私を変えてくれるきっかけになったのか、ちょうどそういうタイミングにたまたま見ただけだったのか、分からないけれど。

リミットオブスリーピングビューティー。
私にとっても、その11月がリミットだったのかもしれない。
このままじゃダメだとずっと心では思っていたけれど、どうすればいいのか分からなかったし、分かっていても、無理だと思い込んでいた。

それは、「今を生きる」ことだった。
11月までの私は、ずっと過去に囚われて、過去を生きていたように思う。
過去の栄光を懐かしんで、過去を恨んで、今を生きていなかった。

今を幸せにするためには、まず、今を受け入れなければいけない。
そして、なくしたものは、過去に戻って取り返すのではなくて、新しい形で未来に作ればいい。
今まで分かってはいても、どうしても動く気になれなかったのに、なんだかそんな風に自然に心が動いた。
すると、どこからともなくいい話も舞い込んできて、私の運命がまたぐらっと動き始めた。

不思議なものだなと思う。
あれだけ変わりたい変わりたいと言っていても変われなかったのに、
準備が整ったのを神様が見ていたかのように、自分が動くことなく運命が動いてくれたんだ。
私はまた、流れるままにそちらへ足を踏み出した。
動き出すとどんどん前向きな気持ちが戻ってきた。
いつの間にか、仕事も少しずつ自信をつけてきていることに気づいた。

音楽をもう一度始めなきゃと思った。
私は、今の私を幸せにしてあげなきゃと思った。
そうでないと、音信不通になった彼を、この先もずっと許せない気がした。

年末に、残っているメンバーに声をかけて、もう一度バンドをやりたいと告げたら、快く受け入れてくれた。

親友と恋人には、この一年、グダグダだった私の愚痴を聞いてくれて、それでも変わらず側にいてくれて、励まし続けてくれて、本当にありがとうとお礼を言った。
言いながら泣いてしまった。
こんなに人に感謝したのは生まれて初めてかもしれない。
私だったら見放していたかもしれない。事実、私はこんな私を見放していた。なのに、私の大切な人は、私を見放さなかった。
私が戻ってくるのを信じて、待っていてくれた。それが何より嬉しかった。
人に信じてもらえることが、こんなに嬉しいんだということを初めて知った。

母にはまだお礼を言えていない。
どれだけ心配をかけたか、計り知れない。
でも、多分、いつも一番私の味方をしてくれるのは母だから、私も、今度はその優しさと愛を、私の大切な人に与えていこうと思った。それが、母への恩返しだろうと思った。

大変だった2017年だけど、大切なことを学んだ年だった。
自分の中で、何か大きなものが変わった気がする。

私に気づかせてくれた、失ったすべてのものに感謝している。
2017年を振り返って、あの年が人生の転機だったと言える日が来るように、これからも頑張ろうと思う。

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