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かめさん

「フォルムに癒される!」
好きなひとと好きなものが一緒ってすごく嬉しい。共通点ができるだけで、すきが同じだけで、もっとすきが大きくなる。
好きなひとの好きなものを知って、好きになることも嫌いじゃないんだけど。それでも、元々わたしが好きだったものをあなたも好きだと知ったときの喜びは、『すき』という気持ちの色が何重にも増えるような気がするんだ。

『動物に例えると…?』
それは小学生のときだった。当時は、プロフィール帳というものが流行っていた。お友達と交換しては記入して。厚くなっていく冊子に、増えてくページに、友達100人できるかな、なんて歌詞を思い浮かべながら、見ていた気がする。
その中の一つの項目。『自分を動物に例えるなら。』
今思うと、なんでもない質問。小さな脳みそをフル回転せずとも、メジャーな動物を書けばいい。返ってきたプロフィール帳を見ると、いぬ、ねこ、うさぎが並んでいる。きっと、好きな動物や、飼っている動物なんだろう。当時から、みんなと同じが好きではなかったわたしは、どうしても、自分がいぬやねこに似てるとは思えなかった。
また、脳みそをフル回転させる。沢山の動物がいる中でわたしが選んだ動物は、かめ。
かけっこは万年ビリ。体力測定は学年で下から数えた方がはやい。お昼休みが始まっても給食を食べていたこともある。そう、理由は単純。人より行動が遅いから。ゆっくり行動するところが似てる。コツコツと、のんびり、マイペースに行動して、最終的にはゴールに辿り着く。ウサギとカメのカメ。当時、小学生だった私は、その理由だけでカメが好きになった。

安田くんのことを好きになってから、ある共通点ができた。安田くんはカメが好き。元々、高い純度を持つ目を輝かせながら、「太古から変わらない姿!」自分よりとてつもなく大きなカメのオブジェを抱きしめてる姿。
びっくりした。生まれてから、好きな動物の項目に、カメさんが入っている人に出会ったことが無かったから。どこがいいの?なんて言われて、カメさんの魅力は伝わらないものだと思っていたから。しかも、大好きな人と同じだなんて。そんなの好きしか無いに決まってる。共通点が増えたことが嬉しかった。

だからね、カメさんを飼うと決めたときも嬉しかった。ある番組で、行きつけのお店に行って、目をキラッキラ輝かせて、頭を抱えて悩んで。その様子を隣で見守ってる丸ちゃんがとっても羨ましかったな。だって、安田くんかわいいんだ。(実際のカブトニオイガメは思った以上に小さくてかわいい)カメさんを飼うか悩む安田くんの何が嬉しかったかって、動物を飼うということは、命が増えるということ。迎えた側の勝手な理由で、命を手放すひとも少なくない世界。ちゃんと、責任を持って1つの命を大事にする。本人きっと、もう決めてたんだろうけれど、それでも、大好きなカメさんを、大好きな安田くんが飼うと決める。その瞬間を見届けることができたのが嬉しかった。

わたしとカメさん。の中に大好きなひとが増えるなんて思ってなかったな。
今年、密かに願っていた、ちっちゃな夢。叶えることができたんだ。中学生の修学旅行の沖縄で迎えたカメさんのぬいぐるみと、ひなやすを並べること。本当はもうひとまわり大きなカメさんのぬいぐるみも並べたかった。水族館で本物のウミガメさんに会わせてあげたかった。だけど、それはまた今度だね。楽しみは後まで取っておいた方が嬉しさが増えると思うから。

安田くんのお家に住んでるカブトニオイガメさん。
貴方は幸せですか。楽しいですか。
安田くんから愛を貰って、すくすく幸せに育ってね。

なんて思ってしまうわたしは、やっぱり、カメさんも安田くんもすきなのだ。

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