オチとは作者の結論<小説・脚本書き方プロット講座⑩>
福岡で「作家塾」という小さな小説・脚本講座を14年以上、運営していく中で「プロット」を重視したおかげで多くの実績が出ましたというお話の第10回目。
今回は、物語の最後を飾る「オチ」(結末)の話をします。
オチは、物語の着地とも言えます。着地ですので、華麗に着地しなければなりません。
つまり、オチはキレがいい方が良いです。
具体的には、物語が感動的に盛り上がったクライマックスを終えたなら、その後に来るオチは、短くさっさと終わった方が良いです。
そして、オチは、作者がそれまで書いてきた物語に対する「結論」になります。
例えば、恋愛ドラマで、そのオチが恋の成就なら、作者にとっての結論は「恋の努力は報われる」。
その逆に、悲恋で終わるオチなら、作者の結論は「恋は思うように結ばれない」。
ヒーローが活躍する物語で正義が勝つオチなら作者の結論は「正義は勝つ」。
逆に悪役が勝つオチなら結論は「世の現実は悪ばかり」。
と言うような感じで、オチは作者の結論であり、作者が信じているものが書かれるものです。
オチとは「作品のテーマ」であり、作者が信じているものです。
無論、オチは作者の本心を書かねばなりません。
もし、オチが作者の本心と異なるものなら、その作者は苦労して作品を書いたにも関わらず嘘つきでしかなくなり、それまでの苦労が水の泡になると言えるでしょう。
そして、そういう嘘は読者に必ず見抜かれ、見放されてしまうでしょう。
作者は自分の本心に従ったオチを書く事を死守すべきです。
もちろん、他に人からの意見を元に、オチはもっとこうした方が良いと思ったなら変えても良いです。
ただ、明らかに作者の中でも、これは嘘だと思うようなオチは書くべきではありません。
オチは、作者の力量が、最も試される部分です。
「作家塾」でも生徒さんが書くプロットのオチは、その作家の答えが出るまで、何度かリライトしてもらいます。
たまに一回でオチが書ける事がありますが、大抵、何度かリライトをします。
そして、その作者なりのオチが書けた時は、本人も読み手も、これが答えだと言う手ごたえを感じます。
そういうオチを書くまで成長した方が、コンペで受賞したり、作家デビューしたりしてきました。
もちろん、そこまで書くには、努力が必要なので、誰しも書ける訳ではありません。
やはり地道な努力が必要で、良いオチを書くために、何度も書き直し、これが答えだ!と思えるまでリライトを重ねましょう。
そうすると、作者としての力量も磨かれます。
さて、これまで連載を続けてきた<小説・脚本書き方プロット講座>も漸く10回を迎え、オチを書く所まで来ましたので、ここでプロット講座は、ひとまず終わりとします。
おさらいになりますが、プロットを書かなくても作品は書けます。
ただ、プロの作家になりたいなら必要な技術ですし、効率的に作品を書くうえでも、プロットを書いた方が便利です。
もちろん、何度も申し上げた通り努力が必要ですが、少しでも早く良い作品が書けるようになる為にも、プロットを活用して努力する事をおすすめします。
さて、全ての連載を読んで頂いた方々、有難う御座いました。
ひとまず連載は終わりますが、今後も、小説や脚本など、物語に関する事を、たまに書かせて頂きたいと思います。
また、「作家塾」公式サイトでも不定期でブログを書いていますので、そちらもご覧頂けましたら幸いです。
(花野組福岡「作家塾」運営事務局)
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