見出し画像

好きな人の癖を真似ることで会えない時間をやり過ごす

誰かを好きになると、その人の癖まで好きになる。


煙草を指に挟んだまま親指だけで頬杖をつく仕草、とか。
眉根を寄せて笑うから、笑ってるのか困ってるのかわからない表情、とか。
文庫本の外側のカバーを外した状態で持ち歩くところ、とか。
シャツの襟を左の手で持ち上げて緩めるようにする仕草、とか。
親指の爪で眉毛をこするようにする仕草、とか。
眼鏡のブリッジを中指で上げる仕草、とか。


「素敵だな」と思っていつも見ているうちに、だんだんそれらの癖が彼を象徴しているように感じてくる。
一人でいる時に、ふとそういう時の彼が思い浮かぶと「ああ、会いたいな」と思う。


でも会いたい時に会えるわけではないし、会える日までまだあと2週間以上あるという場合もある。
何なら会う予定すら決まっていない時だってある。


そんな時に彼の癖を真似たくなる。
真似てみると、なんか彼と一緒にいるような気持ちになれるのだ。


煙草は吸わないので真似できないけど、眉根を寄せて笑ってみたり、文庫本のカバーを外してバッグに入れて持ち歩いてみたり、シャツの襟を持ち上げてみたり、親指の爪で眉毛を擦ってみたり‥‥いや、擦るとせっかく描いたアイブロウが取れるといけないので、そこは撫でる程度で。


眼鏡に至っては、彼の真似をしたいばっかりにわざわざ伊達眼鏡を買ってまで全力で真似しているぐらいだ。


真似してばっかりいて周りに不審がられるといけないのでほどほどにしてはいるが、ほどほどなだけにむしろ毎回新鮮な気持ちで彼を想って嬉しくなる。


本当は、真似しなくていいぐらいたくさん彼に会えればいいんだけどな。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?