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その5

彼は退職をしたい3ヶ月前になったので、職場の一番上に退職届を持っていった。

僕、フリーランスになります。

「キミは本当に頭が良くないね」

そうですね。
僕は『会社』では、本当にダメなやつだと思います。

「何処へ行っても同じだよ、キミみたいな子を雇ってくれるところは無いし、また就職したいって言っても、キミみたいな子は難しいぞ」

そこから、彼が辞める噂はすぐに広まり、後輩2人から「頑張ってください!」と言ってもらえた。

しかし、翌日、、、

彼がトイレの個室に入っているとき、そのトイレに来た昨日の後輩2人。

「あいつ、ありゃ、泣いて帰ってくるだろうね」
「いっつも上から怒られているのに、上手くいくわけないだろ」

彼が倉庫で備品の在庫チェックをしているとき、その横にある喫煙所から先輩2人の声が聞こえてくる、、、

「あいつ、新入社員のころ、自律神経がやられて、精神薬を飲んでたそうっすよ」
「だから、ちょっとおかしいのか」

そして、いつも生意気な後輩から、
「いつも中途半端じゃないですか?フリーになる覚悟とか本当は無いんでしょ?」

彼は、、
自身の机の引き出しから、スイミングの子どもたちと撮った大切な写真を取り出した。

そして、その後輩の目の前で、、

ビ リ ッ ! ビ リ ッ !
十字に破った。

これ、捨てといてくれるかな?

「あ、いえ、、はい、、、すみません、、、、、」

問題ないよ。ありがとう。

彼はニコッと笑いながらも、自身の震える手を後ろに隠しながら、吹っ切れた何かに気づき、、
あーーそうか、もう戻れないんだ。
と、そこではじめて覚悟が決まっていた。

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