そういえばクリスマス前だった

 先程、新年用の日本酒にまつわる話を投稿しようとして、私の手が止まった。そういえば、まだ、クリスマス前だった。

 リースを作ったとか、ツリーの飾りつけをしたという話題を方々ほうぼうで目にしていたにもかかわらず、私の頭の中は、暮れと新年のことに気を取られていたのだ。私は仏教徒なので、それでも全く構わないのだが、やはりここはひとつ、彼に謝っておかなければなるまい。

「サンタ、ごめん…」

 君を忘れていたわけじゃないんだ。でも、靴下を用意しても、誰かがプレゼントを入れてくれるわけでもないし、ホールでケーキを買っても、中年夫婦二人では持て余すのよ。街中のイルミネーションを眺めて、ロマンチックな気分になって夫の腕を組もうものなら、大きな体の妻が夫を連行しているように見えるのでね、そんなこともできないんだ。
 雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう、なんて言われた日には、あー、明日は洗濯物は部屋干しだな、ってなるし、そもそも今から正月のことも考えておかないと、クリスマスから1週間も経たないうちに、除夜の鐘が鳴っちゃうのよ。四十路を過ぎると、ジングルベルから除夜の鐘まで体感的には、二日くらいなの。黒豆煮るだけでも準備から完成まで二日かかるからね、二日では正月は迎えられないんだわ。だからどうしても、たまにクリスマスをすっ飛ばしてしまうのよ。ごめんね。

 ここまで言えば、サンタクロースにも納得してもらえると思うのだが、どうだろうか。しかし、サンタはクリスマスが終わると北欧に帰ってしまうようだが、せっかく来たなら、新年までいればいいのにと思う。

 もし、サンタが日本で年越しをするなら、年越しそばも、美味しいのでぜひ味わってほしいものだ。天ぷら蕎麦の海老の天ぷらなんて、海外の方にも美味しく食べてもらえるのではないかと思う。おせちの方は口に合うか心配ではあるが、お雑煮なら、お餅の食感も楽しいし、何より温まるので、サンタも喜んでくれるような気がする。
 異文化コミュニケーションを図りつつ、異国の新年を味わうのも、今後のクリスマスシーズンの活動において、有益なものになるのではないだろうか。

 せっかく年始を日本で迎えるからには、七福神と会って記念撮影もしていってほしい。それをSNSに投稿したら、かなりの数のイイネがつくはずだ。サンタが七福神と意気投合した暁にあかつきは、再来年あたりは、七福神が、八福神になっているかもしれない。

 さて、クリスマスまであと10日ほどとなった。
 サンタも今頃、最後の追い込みに入っているに違いない。きっとトナカイの鼻以上に顔を真っ赤にして、大わらわで準備をしているはずだ。
 私が、そんなサンタに言いたいことはただひとつ。
 今のうちにクリーニング屋さんに、あの紅白の衣装を取りに行った方がいいよ、ということである。





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