善光寺のお戒壇巡りで突如あらわれた「曲がり角」


この世にくることをイヤイヤしただろう私は
産まれてくる直前の記憶をどこかに保持していて
誕生日の1ヶ月前の10月に無意識に記憶の再燃が起きる
物事全ては停滞し
いままで生きてきた道のりを振り返る時間にいつもなる

秋のキノコシーズンにワクワクする私は
年に一度の停滞祭りを例年必ず忘れ
10月に入った途端にその独特な感覚を思い出し愕然とするのが
すっかり恒例となってしまった

今年もやっぱり同じ

今年は
過去の振り返りの中に
「善光寺での出来事」
が含まれていた 

この出来事は小学4年生の時
善光寺は社会見学で訪れた
他にも県庁なんかに行ったはずが
善光寺の出来事が強烈すぎて記憶にない

前勉強で善光寺の
「おかいだんめぐり」
について勉強し
社会見学当日に体験することになる

お戒壇巡りとは
簡単に言うと
一本道の暗い回廊の壁に錠前があり
それに触れられると幸せになるというものだ
思春期直前の女子は
こういう「パワースポット」的なことに興味津々
前勉強で
「右の壁の腰の位置くらいを手で触れながら進めば鍵にさわれる」
というポイントをしっかり掴み
暗い真っ暗闇の回廊を右の壁をつたい
そろりそろりと前へ進む

日常生活にない
前も右も左も下も右も見えない暗闇

怖い

けれど
前にも
後ろにも
クラスの子がいるので
心強い

もう少しで
鍵…


そのとき

一本道のはずの回廊に
突如
曲がり角
が現れたのである

「え?なんで?」 

咄嗟に
「この謎の曲がり角を進むと
私より後ろにいる子たちがついてきて…
みんな帰れなくなる…」と考え
途端にパニックになり
無意識に壁から手を離し
掴んでいたのは
前にいた同級生の男の子の背中

そして
あっという間に
お戒壇巡りが終わり
明るい世界へ出られたときに
「あぁ怖かったぁ…」
とつぶやくと
がっしり背中を掴ませてもらった男の子に
「お前のほうが怖いけどな…」
と言われる
オチ…

あれから大人になり
何度か
善光寺のお戒壇巡りをしたけれど
曲がり角には一度も遭遇していない

あれは
私の気のせいだったのか…

今回の記事を書くにあたり
「善光寺のお戒壇巡り」
についてインターネットで調べていると
「江戸時代に3名お戒壇巡りにて行方不明になり、
警察も加わり捜査したが見つからなかった」
との記事を見つけ
ゾッとした

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